(出典:グリーンジャーニー推進委員会)
日産自動車株式会社と株式会社日本旅行が発起人となり、JRグループや地球の歩き方、TBWA HAKUHODOなど全14企業が参加し、2024年8月20日に「グリーンジャーニー推進委員会」が発足した。環境省や東北大学とも連携し、CO2の排出を抑え、地域の課題解決にもつながるサステナブルな旅の形「GREEN JOURNEY」を提唱している。
旅行・観光産業は世界のCO2排出量の約1割以上を占めており、その多くは旅行者の移動から発生している。国内ではアフターコロナや円安の影響で観光需要が高まっており、この機会に国内旅行のサステナブル化を推進することは、環境や地域に対して大きな貢献ができると考えられる。GREEN JOURNEY推進委員会では、国内旅行におけるCO2排出削減や環境保全型アクティビティの開発、地域文化の発展を目指し、産学官連携のもとで取り組みを進めていく。
GREEN JOURNEYの第1弾として、熊本県阿蘇市と三重県志摩市との連携で2つの国内旅行ツアーが発表され、日本旅行が販売を開始した。2033年までに「GREEN JOURNEY」の旅行先を全国200エリアに拡大し、利用者数1000万人を目指している。最終的には、2050年までに国内旅行におけるCO2排出ネットゼロを目指す計画である。
(出典:グリーンジャーニー推進委員会)
GREEN JOURNEY推進委員会は、活動目標として3項目を掲げている。まず、2050年までに国内旅行におけるCO2排出をネットゼロにすることである。GREEN JOURNEYの旅では、日産の電気自動車(EV)の活用やサステナブルなグルメ、環境にやさしいアクティビティの提供により、従来のカーボンオフセットによるCO2削減ではなく、実際の排出量を20%以上削減することができる。2030年までには、旅行時の移動におけるCO2排出量を累計4,771トン削減できる見込みとなる。また、各地のツアーでのアクティビティや食事のCO2削減率も、Earth hacksが提供する「デカボスコア」を用いて算出している。たとえば、伊勢志摩での提携スポット「REMARE」では、海洋プラスチックゴミをアップサイクルしたお土産を提供しており、通常のプラスチック製品に比べて37%のCO2削減効果があるとされている。このように、細かな取り組みまでサステナブルな要素を取り入れることで、旅行者のサステナブル意識の向上も図っていく。また、今後は一次交通事業者や再生可能エネルギー事業者など、多様な企業や団体の賛同を募り、さまざまな側面から国内旅行におけるCO2排出量削減に取り組み、2050年までに国内旅行におけるCO2排出ネットゼロを達成することを目指している。
(出典:グリーンジャーニー推進委員会)
次に、2033年までに全国200エリアへの拡大である。全国の自治体と提携を進めることで、2033年までに「GREEN JOURNEY」の旅行先を全国200エリアに拡大することを計画している。
さらにGREEN JOURNEY推進委員会は、2033年までに延べ利用者数1000万人を目指している。全国の自治体との連携を進めるとともに、EV充電設備の拡充など、地域の環境整備を強化し、さらに多くの協力事業者を募りながら、2033年までに延べ利用者数1000万人を達成することを目標としているのである。「GREEN JOURNEY」は、単なる観光にとどまらず、旅行者が長期的に地域と関われる仕組みやアクティビティを提供しており、多くの旅行者が「GREEN JOURNEY」を通じて地域の関係人口増にも貢献することを期待している。
(出典:グリーンジャーニー推進委員会)
日産は、EVレンタカーの普及や充電インフラの拡充を通じてCO2削減に取り組んでいる。日本旅行は「GREEN JOURNEY」のツアー販売を担当し、地域関係人口の増加やサステナブルな体験コンテンツの企画開発を推進している。JRグループは、鉄道利用の促進とともに、「エコレールマーク」商品の活用を推進し、地球の歩き方はそのメディアを通じて「GREEN JOURNEY」の認知拡大を図る。
「GREEN JOURNEY」の旅では、CO2削減だけでなく、旅行者がサステナビリティを意識するきっかけを提供することが重要である。Earth hacksが提供する「デカボスコア」により、ツアーの各アクティビティや食事におけるCO2削減効果を可視化し、旅行者の意識向上に寄与することを目指している。地域でのお手伝いと旅を掛け合わせた「おてつたび」や、日本ジオパークネットワークの教育や観光活動など、参画企業の取り組みも多岐にわたる。
「GREEN JOURNEY」は単なる観光にとどまらず、旅行者が地域と長期的に関わる仕組みやアクティビティを提供することで、地域の関係人口増にも寄与すると期待されている。環境にやさしく、地域にも貢献できる新しい旅の形を目指して、推進委員会は今後も活動を続けていく予定である。