山梨県甲府市のホテル運営会社「株式会社湯村ホテル」が民事再生法の適用を申請したことが明らかになった。
同社は1930年創業で資本金1300万円。甲府市の湯村温泉郷で、客室数99、収容人員138人の「湯村ホテルB&B」を経営していた。
同ホテルは源泉掛け流しの良質な温泉に県産食材を使った料理がリーズナブルに楽しめることから、県外や地元の人々に利用されてきた。しかし、大手のビジネスホテルチェーンの進出拡大によって売上高が減少し、近年は資金繰りが厳しい状況だった。
湯治客の誘致を進めるため、医療機関と連携し「温泉利用プログラム型健康増進施設」として厚生労働大臣の認定を受けるなどしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で客足は急減。今回の民事再生法の適用申請に至った。
帝国データバンク(甲府支店)によると、2003年12月期には3億2400万円の収入があったが、20年12月期の年収入高は約1億800万円にまで低下し、6,000万円内外の赤字となっていたという。新型コロナウイルスの影響による県内の倒産は6件目で、宿泊業では初めて。負債総額は金融機関4社などに計約11億円。