(出典:株式会社和多屋別荘)
株式会社和多屋別荘は、株式会社イノベーションパートナーズと共に、旅館をハブとした地域の関係人口の増加や地域資源の高付加価値化を通じた「選ばれる地域づくり」の実現に向けて活動を続けてきた。このたび、クオンクロップ株式会社が和多屋別荘およびイノベーションパートナーズが運営する温泉インキュベーションセンター(OIC)に参画し、持続可能な観光および地域経済の発展を目指した事業共創を開始することとなった。
(出典:株式会社和多屋別荘)
和多屋別荘は2016年より地元有志メンバーと共に嬉野茶時「ティーツーリズム」を推進し、敷地内で独自のティーツーリズムプログラムを展開してきた。2020年以降は地域事業者や専門家、企業と連携し、嬉野の地域文化を活かした10を超えるプログラムを提供している。一方、クオンクロップは「次世代に多様かつ持続可能な『食と農』をつなぐ」をパーパスに掲げ、環境価値の可視化・価値化を支援するソリューション「Myエコものさし」を展開している。
2024年12月に開催された「Foodtech Venture Day Neo」において、クオンクロップが「和多屋別荘賞」を受賞したことを契機に、本共創の議論が始まった。嬉野地域文化の持つ本来の価値をより広く可視化し、経済価値を高めるため、今回の共創開始に至った。国連が2023年に制定した「世界観光レジリエンスの日(2月17日)」に象徴されるように、持続可能な観光の推進は国際的な重要課題となっている。エコツーリズムを含むサステナブルツーリズムが経済・文化・環境の持続的発展の鍵とされているが、具体的な事例は限定的である現状がある。
和多屋別荘はクオンクロップ、イノベーションパートナーズと共に、「地域文化・本来価値」×「環境価値・グローバル視点」×「心の豊かさ・経済的豊かさ」を統合的に体現する、国内唯一無二の地域ロールモデルの創出を目指している。2025年には嬉野地域での実装を進め、さらに日本および海外各地へ展開可能なロールモデルとして、各地域の文化資本・地域固有文化の持続的な発展につなげていく。
(出典:株式会社和多屋別荘)
温泉インキュベーションセンター(OIC)は、佐賀県嬉野市の老舗温泉旅館「和多屋別荘」内に設立されたスタートアップ支援拠点である。温泉地の特性を活かしながら、新規事業の創出や地域社会の発展を促進することを目的としている。企業の新規事業開発やサテライトオフィスとしての活用を支援するとともに、独自のネットワークやサービスを提供し、持続可能なビジネスの成長をサポートする。地域事業者や自治体と連携し、地域経済の活性化や雇用創出を推進するとともに、観光資源や文化資本を活かした新しい事業展開にも取り組んでいる。
クオンクロップは、温室効果ガス(GHG)排出量や生物多様性指標など10以上の食品エコ指標を可視化し、生産者や事業者の取り組みを伝え、付加価値の創出を支援するソリューション「Myエコものさし」を開発・運営している。2022年にはJAアクセラレーター第4期で優秀賞を受賞、2023年にはTOYOHASHI AGRI MEETUPアグリテックコンテストで愛知県豊橋市との連携企業に採択された。海外では、Food 4 Future 2024にてBest Sustainability ProjectカテゴリーでFinalist賞を受賞するなど、国内外から高い評価を受けている。
和多屋別荘は1950年に設立され、今年創業75年を迎える。2021年11月から「Reborn Wataya Project」を展開し、「Made in ピエール・エルメ 和多屋別荘」や「BOOKS&TEA三服」などの施設を同時開業するなど、新たな改革を推進してきた。2021年よりイノベーションパートナーズとオフィス誘致事業を開始し、現在までに13社が入居している。今年4月には温泉旅館初となる日本語学校「ICA国際会話学院 嬉野校」が開校予定である。
今回の事業共創により、持続可能な観光と地域経済の発展を目指し、嬉野地域の文化資本の価値向上と新たなビジネスモデルの確立を進めていく。