宮城県仙台市の旅館「ラドン温泉旅館 天龍閣」が、コロナ禍による経営難のため11月25日をもって閉館することが明らかになった。
同旅館は、広瀬川の清流を眼下に伊達政宗公が眠る瑞鳳殿の杉木立に囲まれた旅館。1952年に創業、ラドン温泉は1978年に開設された。客室数は和室26室。「天龍閣」という旅館名は仙台市郊外の高台にあること、そして独眼竜政宗にあやかって付けられた。
建物正面にある看板は喜劇俳優の伴淳三郎が揮毫(きごう)した。また、戦前戦後の時代劇スターである片岡千恵蔵との交流を機に各界の著名人が宿泊し、バラエティー番組や歌番組など、度々テレビ番組のロケ地にもなった。
近年は学生サークルや隣県の小学校の修学旅行といった団体客を中心に迎え入れてきたが、コロナ禍で予約は激減。この2年間の団体客は1件だけだったという。
河北新報の取材に対し、横山社長は閉館の理由をコロナの収束の見通しが立たないことに加え、親族の看護や自身の体調不安も重なったと話した。土地建物は売却する予定。
宿泊と日帰り入浴、岩盤浴は24日が受け入れ最終日となる。