2019年の火災で正殿などを失った首里城は、2026年秋の復興完了に向けて再建が進んでいる。星のや沖縄はその動きに合わせ、滞在プログラム「首里城を彩る紅~琉球のちむぐくる~」を2026年3月から通年で提供する。
復興に携わる漆職人から再建の工程や漆の役割を聞き、首里城にも用いられる沈金の技法で朱色の琉球漆器制作を体験。加えて、首里城の宴を参考にした琉球舞踊の鑑賞と泡盛の提供を通じ、王朝文化のもてなしに触れる内容だ。復興を機に注目が集まる伝統技術や美意識を、滞在の中で具体的に学べる点が特徴となる。
本記事では、「首里城を彩る紅~琉球のちむぐくる~」の企画意図やこだわりなどについて、星のや沖縄に取材した。
▷星のや沖縄 公式サイト:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyaokinawa
―――本プログラムでいう「首里城の“業”」と「ちむぐくる(真心)」を、星のや沖縄としてどう定義し、体験価値に落とし込んだのか企画意図を教えてください。

星のや沖縄では、沖縄の史跡「グスク」から着想を得た「グスクの居館」をコンセプトに、琉球の伝統や文化を滞在の中で体感いただくことを大切にしています。
まず「首里城の“業”」は、首里城が外壁から内装に至るまで漆が施された「大きな漆の箱」とも称される、沖縄の職人の英知を結集した“一つの大きな作品”である、という捉え方です。
そして「ちむぐくる(真心)」は、琉球王朝時代に首里城が諸外国との交易を通じて賓客を歓待してきた「もてなしの心」を、沖縄の方言で“深い想い”を指す「ちむぐくる」として捉えています。
企画意図としては、2026年秋に復興完了を迎える首里城が、単なる建造物の再建にとどまらず、伝統技術を次世代へ継承していく場でもある点に強く意味を感じています。
琉球の歴史と文化の象徴である首里城に息づく「業」と「真心」を、職人との交流や宮廷芸能の鑑賞といった“圧倒的非日常”の滞在を通じて深く知っていただきたい。そう考えて本プログラムを企画しました。
―――漆芸家・森田哲也氏と行うワークショップについて、首里城にも用いられる「沈金」の“ここを見てほしい”ポイントを伺えますか。

首里城正殿の修復にも携わる「工房ぬりトン」の森田哲也氏をお招きします。
まず技法の特徴と難しさですが、「沈金」は漆を塗った面に鋭い刃物で文様を彫り、その繊細な溝に金を埋めていく技法です。一度彫れば修正ができない緊張感があり、職人の手先の緻密な「業」を間近に感じていただける点が最大の見どころだと思います。
美の基準としては、深みのある朱色の漆と、そこに浮かび上がる金のラインが織りなす品格ある美しさが挙げられます。
道具と工程についても、実際の首里城再建で用いられている伝統的な技法をそのまま体験いただける構成です。自分の手で工芸品を作り上げる喜びとともに、壮大な建築に込められた職人の想いを感じていただけます。

―――チェックイン後の「首里城を知るひととき」では、赤瓦約6万枚や龍頭棟飾などを扱うとのことですが、特に象徴的な“業”として取り上げるテーマや切り口は何でしょうか。
チェックイン後に開催するこの時間では、「見えない場所にまで宿る職人の真心」を切り口としています。
象徴的なテーマとして、約6万枚の赤瓦や、鮮やかな龍頭棟飾など、首里城を構成する膨大な要素の一つひとつに込められた「業」と「想い」を紐解きます。
切り口の一例として、沖縄の過酷な紫外線や塩害から建物を守るために、漆と顔料を絶妙に配合して生み出された「朱色」の知恵があります。単なる装飾ではなく、環境と向き合って生まれた機能美としての「業」に焦点を当ててお伝えします。
―――宴の再現と宮廷芸能のプライベート鑑賞について、道場を御庭(ウナー)に見立てるために工夫した空間演出や体験の流れを教えてください。

かつて首里城正殿前の広場「御庭(ウナー)」で催された宴を、星のや沖縄の「道場」で再現します。
空間演出としては、夕陽が差し込む道場を舞台に見立て、現代的な照明を抑えています。自然の移ろいを取り込み、時間の流れそのものを感じられる空間として演出します。
体験の流れは、琉球舞踊をプライベートに鑑賞いただきながら、首里城下の酒造で造られた泡盛を、当時と同じ琉球漆器や琉球錫(すず)の酒器で提供します。
プライベートな空間の中で、古の琉球王朝が賓客を丁寧にもてなした「真心」を、ゲストご自身の感覚で受け取っていただけるよう構成しています。

―――最後に、本プログラムを通じて、復興へ向かう首里城の今に触れたゲストに、旅の後も心に残り続けてほしいメッセージ(行動の変化も含めて)があれば教えてください。
首里城のツアーは「完成された美を外側から眺める」体験ですが、星のや沖縄での滞在は「その美が生まれる背景や内側へ入り込む」体験になればと思います。
沖縄の伝統や文化に触れることができる星のや沖縄でだからこそ、滞在を通じて首里城の本質である「業」と「真心」に触れ、知識ではなく身体的な感覚として体験いただけるのではないかと思っています。
■「首里城を彩る紅~琉球のちむぐくる~」概要
期間:2026年3月より通年
料金:1組2名 100,000円(税・サービス料込、宿泊料別)
含まれるもの:琉球漆器のワークショップ、首里城を知るひととき、宮廷芸能のプライベート鑑賞
定員:1日1組(2名〜4名まで)
予約:公式サイト(https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyaokinawa/)にて2週間前まで受付
場所:客室、道場
備考:天候や仕入れ状況により、実施内容が変更になる場合があります。
■「星のや沖縄」概要
所在地 :〒904-0327 沖縄県中頭郡読谷村字儀間474
電話 :050-3134-8091(星のや総合予約)
客室数 :100室・チェックイン:15:00/チェックアウト:12:00
料金 :1泊 170,000円~(1室あたり、税・サービス料込、食事別)*通常予約は2泊より
アクセス:那覇空港から車で約1時間(空港リムジンバスあり<有料>)
URL :https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyaokinawa