9月28日、栃木県の那須塩原市は12月より入湯税を引き上げるとの決定を発表した。増税分は従業員のPCR検査費用に充てるという。
28日に開かれた那須塩原市の市議会で、入湯税の引き上げを定める条例改正案が可決された。
引き上げ分についてはPCR検査費用の財源に充てられる予定だ。検査の対象となるのは、旅館やホテルといった入浴関連施設の従業員およそ600人。引き上げにより、宿泊料金が1万円以下なら50円、2万円以下なら100円、2万円を超えれば200円がそれぞれ料金に加算される。
那須塩原市は栃木県北部に位置し、温泉郷として高名で毎年おおくの観光客が訪れる街だ。しかし昨今では新型コロナウイルスの影響で、客足が遠のいている。
入浴施設は飲食店と並んで不特定多数の密な状況が発生しやすく、感染リスクが高まる場所。今回の施策は、「安全な温泉宿」を対外的にアピールし、減ってしまった客足を取り戻そうとする狙いだ。
一方、宿泊施設側には、施設の安全確保にかかる負担を利用者に求めることに対し異議を唱える声もある。また、値上げによりさらに客が減る恐れや、PCR検査自体の意義を疑問視する人も。
安全か価格か。2つの要素の兼ね合いをどう調整するかは、withコロナの時代において逃げられない問題だ。
渡辺美知太郎市長は、観光客が増えることに対する市民の不安や、引き上げに反対する声に理解を示しつつ、将来的には別の税制度の導入も検討しているとコメントした。さらに市では、検査で従業員の陽性が発覚した場合、本人に5万円の見舞金、施設に対しては20万円の補助金を支給するという。