川湯温泉で温泉ホテルを経営する川湯温泉ホテルプラザが、昨年閉館した「川湯第一ホテル忍冬(すいかずら)」を買い取り、来年1月の営業再開に向けて再建に取り組むことが分かった。
「川湯第一ホテル忍冬」の土地と建物を取得したのは川湯温泉ホテルプラザで、当社は釧路管内弟子屈町の川湯温泉で「お宿欣喜(きんき)湯」を経営している。取得額は非公表。
川湯温泉郷の「川湯第一ホテル忍冬」は、利用客の減少が原因で昨年閉館していた。経営していたのは、1926年に創業し、1955年に設立した株式会社第一ホテル。2006年12月に大幅なリニューアル工事を行い、「川湯第一ホテル忍冬」へと名称を変更。酸性硫黄泉の源泉かけ流しを楽しめることから人気を博し、川湯温泉の中でも老舗ホテルとして名を馳せていた。
リニューアル効果もあり、2008年9月期の年収入高は約4億2100万円を計上。しかし、近隣ホテルとの競合により客足が減少。さらに燃料価格の高騰もあり赤字決算がつづき、改装工事に伴う多額の借入金が重くくのしかかり、資金繰りが逼迫。加えて北海道胆振東部地震の影響から予約のキャンセルが相次ぎ、総額約3億6900万円の負債を抱えて破産していた。
「川湯第一ホテル忍冬」は1972年建設の鉄筋コンクリート5階建て延べ約6900平方メートル。川湯ホテルプラザによると、73ある客室のうち、2006年に改装された客室露天風呂付き貴賓室を含む22室の営業から始めるとのこと。「忍冬」の名称は残す方向。従業員20人の新規雇用を予定している。
川湯温泉は、新型コロナウイルスの影響で別のホテルが自己破産するなど今年に入ってからも厳しい状況が続いている。営業不振により休業したままのホテル・旅館が10軒ほどあり、一部は廃屋化し景観上の問題となってきた。
こうした事態を受けて、弟子屈町では閉館した宿泊施設の再生に最大2000万円を補助する事業を始めている。今回、川湯温泉ホテルプラザもこの補助金の活用を検討しているとのこと。温泉街の再生に向けた取り組みが、地域経済の活性化につながることを期待したい。