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【取材】東海道の歴史薫る、箱根ごこちの湯宿「界 箱根」リニューアルオープン

投稿日 : 2025.08.22

神奈川県

ホテル関連ニュース

箱根湯本に佇む全室リバービューの温泉旅館「界 箱根」が、2025年8月13日にリニューアルオープンした。

「東海道の歴史に浸る、箱根ごこちの湯宿」をコンセプトに、宿の魅力を一層高める新たな仕掛けが導入されている。中庭にはお茶やお団子をふるまう「さわ茶屋」が誕生し、往時の茶屋を想起させる空間で寛ぎの時間を提供。さらに、110㎡を超える贅沢な「箱根ごこちスイート」が2室限定で設けられ、湯坂山を望む露天風呂や坪庭付きの湯上がり処など、多様な過ごし方が可能となった。また、箱根寄木細工の制作工程を体験できる「ずく引き」プログラムも新たに加わり、地域文化を深く体感できる場となっている。

本記事では、施設のこだわりや魅力などについて、界 箱根に取材を行った。

▷公式サイト:http://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaihakone/

―――「東海道の歴史に浸る、箱根ごこちの湯宿」というコンセプトを設定された背景と、リニューアルで特に伝えたい価値は何でしょうか。

これまでの「界 箱根」は、箱根の伝統工芸、寄木細工を館内や客室に設え、その魅力を伝え続けてきました。今回のリニューアルではさらに一歩踏み込み、旧東海道沿いに建つ温泉宿として、東海道を行き交った旅人たちが育んできた箱根の文化全体に焦点を当てています。

単なる伝統工芸の紹介にとどまらず、宿での滞在を通して箱根の深い歴史と文化をまるごと体験し、心からくつろいでいただきたい。そんな思いを込めて、「東海道の歴史に浸る、箱根ごこちの湯宿」というコンセプトを掲げました。

このリニューアルで最も伝えたい価値は、滞在そのものが箱根の魅力を深く知るきっかけになることです。訪れたお客様に、「箱根にいる実感、箱根だからこそ味わえる心地よさ」を心ゆくまで感じていただきたいと考えています。

―――全室を「箱根ごこちの間」に統一されたことで、どのような滞在体験や利用シーンの広がりを期待していますか。

▲壁面にアートワークを設えたご当地部屋「箱根ごこちの間」

星野リゾートの温泉旅館「界」では、地域の特徴的な素材や工芸品を取り入れた「ご当地部屋」をご用意しています。界 箱根はこれまで、一部の客室のみがご当地部屋でしたが、今回のリニューアルで全客室を「箱根ごこちの間」に統一しました。これにより、どのお客様も、旅の始まりから終わりまで箱根の文化に触れる滞在を楽しんでいただけます。

▲旅人の旅道具をあしらったベッドライナー

客室内には、東海道を行き交う旅人の旅道具をモチーフにしたアートや、オリジナルのベッドスローを新たに設えました。また、110㎡を超える広さの「箱根ごこちスイート」を2室新設しました。このスイートルームは最大4名で宿泊可能で、リビング、湯上がり空間、ベッドルームなど、空間を点在させることで、全員で集う賑やかな時間と、各々がゆったりと寛ぐ時間の両方を自然に生み出します。

成人されたお子様やご両親との家族旅行など、大人同士が心地よい距離感を保ちながら過ごせる旅に最適です。

▲迫力ある景観を望めるソファースペース

―――中庭に誕生した「さわ茶屋」は、どのような着想から生まれ、空間づくりで特に意識された点は何でしょうか。

▲「さわ茶屋」でくつろぐ様子

「天下の険」として知られた箱根路には、かつて旅人たちが一休みする茶屋が軒を連ね、活発な交流が生まれていました。この「茶屋文化」に着想を得て、中庭のベストなロケーションに「さわ茶屋」を設えました。

空間づくりで最も意識したのは、「五感で箱根の自然を感じる」ことです。大きなモミジが見守るこの場所では、木々の揺れる音、鳥や虫の鳴き声、川のせせらぎなど、箱根の豊かな自然が奏でる音が心地よく響き渡ります。

▲お茶とお団子のふるまい

かつて旅人たちが茶屋で旅の労をねぎらい、交流を深めたように、この「さわ茶屋」がお客様にとって、大切な人と心を通わせる特別な場所になることを願っています。

―――「寄木細工のずく引き体験」が生まれたきっかけや背景、地元職人との連携で特に大切にしたことを教えてください。

▲寄木細工の工程を体験できるご当地楽ルーム

「界」ブランドでは、地域の伝統芸能や伝統文化を見て、触れて、体験できる「ご当地楽」というおもてなしを毎日行っています。「界 箱根」は、2012年の開業以来、箱根寄木細工を製作する露木木工所の職人と連携し、その魅力を伝えてきました。これまでのご当地楽では、紙芝居や体験を通して寄木細工の知識を深めていただくことに主眼を置いていました。

今回のリニューアルでは、さらに一歩踏み込み、職人の想いを直接お客様に届ける体験を提供したいと考えました。それが、新しいご当地楽「寄木細工のずく引き体験」です。

▲「ずく」を引く様子

制作工程の一部である「ずく引き」を体験できる専用空間を館内に設け、お客様に実際に手を動かしていただきます。この体験には、職人が「寄木細工を芸術品としてだけでなく、日々の暮らしに溶け込む身近な存在にしたい」と願う気持ちが込められています。

地域文化の担い手である職人の想いと、それを温泉旅館での滞在を通して伝えたいという私たちの想いが共鳴し、この新しい体験が生まれました。

―――リニューアル全体を通じて、既存のお客様にも新たなお客様にも喜んでいただくために工夫した点や、今後の展望をお聞かせください。

▲紅葉を望む半露天風呂

「界」ブランドでは、その土地ならではの伝統工芸や文化を、滞在そのものを通して体験していただくことを大切にしています。今回のリニューアルでは、「さわ茶屋」でのくつろぎや「寄木細工のずく引き体験」を通して、箱根の歴史と文化の奥深さを存分に体感できる工夫を凝らしました。

これまで当館をご愛顧くださっているお客様には、より深く進化した「箱根ごこち」を。そして、これからお越しになるお客様には、「界 箱根」ならではの特別な体験を通じて、箱根の新しい魅力を発見していただきたいです。

また、箱根エリアの仙石原温泉にはもうひとつ、趣の異なる「界 仙石原」があります。仙石原高原の雄大な自然に抱かれた全室露天風呂付きの客室に憩い、芸術に触れながらおこもり滞在が叶う宿です。この箱根エリアにある二つの「界」で、まだ知られていない箱根エリアの魅力を広く発信できるよう努めてまいります。

■施設概要

施設名称       :界 箱根
所在地        :神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋230
電話         :050-3134-8092(界予約センター)
客室数        :34室
客室内訳       :和室(定員2名)6室、和室(定員4名)11室、和室(定員5名)5室、
            せせらぎ縁台付き和室1室、清流リビング付き和洋室6室、
            露天風呂付き洋室2室、箱根ごこちスイート2室、愛犬ルーム1室
付帯設備       :ロビー、トラベルライブラリー、ショップ、食事処、中庭、さわ茶屋、
            大浴場(男女別、半露天風呂各1)、湯上がり処、ご当地楽ルーム
料金         :1泊38,000円〜(2名1室利用時1名あたり、税・サービス料込、夕朝食付)
アクセス       :小田急線 箱根湯本駅より車で7分
公式サイト      :http://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaihakone/

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