BIO HOTEL(ビオホテル)は、環境、宿泊客、従業員の健康に配慮したホテルで、オーガニックや環境保全に取り組むドイツ・オーストリアの施設や団体が2001年に組織した「Die BIO HOTEL(ビオホテル協会)」から認定を受けて初めてBIO HOTELと呼ぶことができる。
(出典:BIO HOTELS JAPAN)
ビオホテル協会はホテルへの厳格なBIO基準を設けている。これはエコな取り組みだけでなく、食、コスメ、エネルギーの3つの観点での基準を満たしている必要がある。食に関しては、料理や飲み物が地元から調達され、完全にオーガニックであること、またコスメやタオル、ベッドリネン等も全てオーガニックで、施設の建材や内装材も可能な限り自然素材を使用することが求められる。さらにエネルギー面では、CO2排出量を削減し、資源の効率的な使用を実践することが必要条件だ。
日本では、BIO HOTELS JAPAN(一般社団法人日本ビオホテル協会)がビオホテル協会から公認を受け、地域のサステナブルなホテルを認定している。その認証はヨーロッパと日本の環境への意識の違いを踏まえて日本に合わせた基準に基づいているが、それでも厳しい基準をクリアしたホテルだけが認定を受けられる。
更にビオホテルは、サステナブルツーリズムディベロップメントインデックス(STDI)の基準に基づき、ホテルを厳格に評価している。これには、従業員が快適に働ける環境や通勤の距離、方法、動物の倫理的な扱い等も含まれている。その結果、ビオホテルの認証を受けたホテルは、全体的なサステナビリティの観点から高い評価を受けており、ビオホテルの増加がSDGsの目標達成の貢献にもつながると期待されている。
ビオホテル認証についてどのようなメリットがあり、また一方でどのようなデメリットが考えられるか以下にまとめた。
メリット
ホテル側:マイクロツーリズムによる地域活性化と雇用創出。地元の魅力を再発見し、地域経済の振興に寄与できる。
利用者側:リトリート目的で泊まるに最適。自然と触れ合い、ゆっくりと過ごすことができる。
デメリット
ホテル側:ビオホテル認証の取得と維持が難しく、コストが高い。また、日本ではビオホテルの数が少なく、認知度も低い。
利用者側:食や設備へのこだわりの分、一般の宿泊施設に比べて価格設定が高い。
(出典:BIO HOTELS JAPAN)
最後に、ビオホテルは厳格な基準を満たし、人と環境を優先し、心身ともに安らげる場所だ。現在日本には認証を取得したビオホテルが2つしかない。認証取得や維持の難しさ、コスト負担など課題が存在するが、ビオホテルの増加は地域活性化やSDGs達成に寄与する。またビオホテルの増加には、人々の認識の高まりや環境に配慮したホテルを求める人々の増加も必要といえるだろう。