AIやIoT機器の導入・普及により変貌を遂げるホテル業界の2019年。スマートホステルの「&AND HOSTEL」や客室タブレット「tabii」、宿泊管理システム「innto」など様々な宿泊IoT関連サービスを提供し、注目を集めるand factory社にサービスの特徴と今後の展望について話を聞いた。
スマートフォン・アイデア・カンパニーが日常に&を届ける
「スマートフォン・アイデア・カンパニー」を標榜し、スマホビジネスの事業可能性を追求するand factory社は、2014年9月に設立された。同社は、現在社員80名ほどで、2018年9月には設立4年でマザーズ市場に上場を果たしている。
「日常に&を届ける」をミッションとして、スマートフォンによるゲーム攻略や漫画などのアプリ事業と宿泊施設や住宅向けのIoT事業を二本の柱として幅広い展開を行なっている。
今回は、近未来のIoT空間が楽しめる体験型宿泊施設「&AND HOSTEL」や客室タブレット「tabii」を中心に同社のIoT事業の展開について同社執行役員の飯村洋平氏に話を聞いた。
近未来IoT体験型宿泊施設「&AND HOSTEL」
&AND HOSTELは、今年2月、日本経済新聞社が主催する「2018年日経優秀製品・サービス賞」において、「優秀賞 日経産業新聞賞」を受賞するなどホテル業界注目施設だ。
&AND HOSTELは様々なIoTデバイスを1ヶ所に集結させ1つのアプリで全機器類を動かせるよう基盤のアプリを同社が独自開発した、近未来のIoT空間が楽しめる体験型宿泊施設の「日本初のスマートホステル」だ。
同社が&AND HOSTELとしてホステルの運営を開始したのはおよそ2年前から。宿泊施設を同社自身が運営しており、同社が開発したIoT機器の実験的マーケティングプレイスとして、取得したデータの活用も行う。
また、宿泊施設の古い体質をテクノロジーを通じて変革するべく、&AND HOSTELで培った技術や経験を同社施設に限らず、外部の施設にも普及する取り組みを行なっている。
&AND HOSTELは現在8店舗が展開しており、2019年度内にはさらにもう1店舗の開業が決まっており、全国にその展開を広げている。
利用者の7割は訪日外国人客で、先進的技術に興味がある人やデザイン性への人気から、稼働率は8割を超えるという。
飯村氏によれば、「&AND HOSTELでは、照明・リモコン・スピーカーなどが様々なデバイスをシステム連携させる弊社独自のプラットフォームアプリ「&IoT」を採用しています。これにより、各々のデバイスの操作はもちろん、それらを連動させた最適環境を瞬時に整えることも可能になります。」とのこと。
宿泊施設の体験をアップデート、客室タブレット「tabii」
また、同社が提供する客室タブレットの「tabii」は変なホテルやさきしまコスモタワーホテルなどに最新設備として導入が進み関心を集めている。
飯村氏によれば、「tabiiは訪日外国人に限らず、日本人にも利用されています。施設ごとにレストラン・カフェやアクティビティなどの周辺情報を集めて施設のコメント付きで提供しています。導入施設には月額料金無料で提供しており、tabiiの収益は、主にコンテンツの広告料によって賄われます。」とのこと。
また、tabiiを導入することで、施設内の頻繁な問い合わせを削減することができ、動画エンタメ系の充実したコンテンツメニューはVODを代替する顧客サービスとしても効果を発揮する。
tabiiには施設内の浴場やレストランの混雑状況なども客室からタブレットで確認できるオプション機能も有料で追加が可能で、「宿泊施設での体験をアップデートする」(飯村氏)ことにつながるという。
2019年と今後の展望について、飯村氏に聞いた。
「今後の展開としては、&AND HOSTELでのIoT体験と弊社の宿泊管理システム「innto」、客室タブレットサービスの「tabii」を連携させることで宿泊業界をテクノロジーで変えていく、つなげていくというアプローチを続けていきます。
例えば、予約段階から国籍を把握して、カスタマイズした客室サービスを提供するとか、リピーターの趣味嗜好を把握してそれにあわせて適正な温度をあらかじめ設定して提供するとか、データを蓄積することで出来るサービスが広がります。
我々のテクノロジーを活用したサービスを提供していくことで、まだまだIT、デジタル化が進んでいない業界のテクノロジーパートナーとして、宿泊業界を「アップデート」していきたいと考えています。」とのこと。
同社の展開する事業・サービスは多岐にわたるが今後も「スマートフォン・アイデア・カンパニー」「日常に&を届ける」というブレないビジョンのもとで、最新テクノロジーにより宿泊業界の刷新を続けていきそうだ。
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