2025年2月1日、新潟県上越市にて、建築家・原広司の住宅作品「北川邸」が一棟貸民泊施設「浮遊のいえ」としてグランドオープンした。
旧北川邸は、原氏の義父である良寛研究者・北川省一氏の住宅として、原広司+アトリエ・ファイによってデザインされた住宅作品だ。文化的な資産である旧北川邸を、経済的にサステナブルな形で次世代に継承していくべく、宿泊施設として事業化。豪雪地域である高田の地域性を汲み取った原氏の設計思想に触れながら宿泊できる一棟貸民泊施設「浮遊のいえ」としてオープンした。
本記事では、オープンの経緯や施設の特徴などについて、「浮遊のいえ」管理人の久野遼氏に取材を行った。
▷ 公式サイト:https://floatinghouse.snack.chillnn.com/
―――旧北川邸を宿泊施設として活用しようと考えたきっかけや経緯を教えてください。
![](https://i0.wp.com/hotelbank.jp/wp-content/uploads/sub1-255.jpg?resize=1024%2C683&ssl=1)
旧北川邸は、建築家・原広司が義父母のために設計した住宅です。敷地である日本有数の豪雪地・新潟県上越市高田の地域性と原広司の建築思想が色濃く反映された空間でありながら、長らく空き家となっていました。
この貴重な建築を未来へと引き継ぐ方法を考え、宿泊施設としての活用を決意しました。ただ保存するのではなく、人々に滞在してもらうことで、原広司の思想や空間の魅力を直接体感してもらいたいと考えています。また、高田の美しい町並みや四季の移ろいを楽しめる場として、多くの方に訪れていただきたいです。
―――宿泊施設として運営するにあたり、どのような修繕や改修が行われたのでしょうか?
![](https://i0.wp.com/hotelbank.jp/wp-content/uploads/sub4-188.jpg?resize=1024%2C1024&ssl=1)
旧北川邸は1986年に竣工しており、建物の状態は良好だったため、大規模な改修は行っていません。原広司の設計による独特の空間性をそのまま活かし、最小限の設備点検やメンテナンスのみを実施し、宿泊施設へと転用しました。
もともと住宅として使用されていたため、大きな手を加えずとも快適に過ごせる環境が整っており、建築当時の設計意図をそのまま感じていただける空間になっています。意図的に改修を抑えることで、原広司が生み出した「浮遊」の思想を、より純粋な形で体験していただける宿となりました。
―――「浮遊のいえ」はどのような層の宿泊者を想定していますか?
![](https://i0.wp.com/hotelbank.jp/wp-content/uploads/sub7-110.jpg?resize=1024%2C1024&ssl=1)
「浮遊のいえ」は、建築やデザインに関心のある方はもちろん、日本の伝統的な住まいや四季の変化を楽しみたい方にもおすすめしたい宿です。高田公園が近いため、春には桜を愛でる旅行者にとっても魅力的な滞在先となるでしょう。
また、高田は日本有数の豪雪地帯であり、近隣には妙高エリアをはじめとするスノーリゾートがあります。そのため、スキーやスノーボードを楽しむインバウンド観光客にも、静かで特別な滞在を提供できると考えています。
![](https://i0.wp.com/hotelbank.jp/wp-content/uploads/sub5-151.jpg?resize=1024%2C1024&ssl=1)
一棟貸しのため、家族旅行や少人数のグループにも適しており、歴史ある町並みの中で、四季折々の魅力を感じながらゆったりとした時間を過ごしていただけます。
―――同じような一棟貸しの宿泊施設と比べたときに、「浮遊のいえ」ならではの強みや独自性は何でしょうか?
![](https://i0.wp.com/hotelbank.jp/wp-content/uploads/sub2-245.jpg?resize=1024%2C683&ssl=1)
「浮遊のいえ」の最大の特徴は、世界的な建築家・原広司の設計による空間そのものです。「浮遊」という概念のもと、建物が静かに浮かんでいるような感覚を生み出す独特の設計が施されており、その空間を実際に体験できる機会は他にありません。
![](https://i0.wp.com/hotelbank.jp/wp-content/uploads/sub8-94.jpg?resize=1024%2C1024&ssl=1)
また、時間帯や季節によって表情を変える固有の時の流れ方が、滞在そのものを特別な体験へと昇華させます。さらに、高田の美しい町並みや歴史的背景と調和した立地も魅力の一つです。
一棟貸しの自由さと、建築そのものが持つ思想的な奥深さを兼ね備えた、唯一無二の宿泊施設といえます。
―――最後に今後の展望や意気込みを教えてください。
![](https://i0.wp.com/hotelbank.jp/wp-content/uploads/main-350.jpg?resize=1024%2C1024&ssl=1)
「浮遊のいえ」は、ただの宿泊施設ではなく、人々が建築の魅力を五感で体験し、そこから何かを感じ取る場であってほしいと考えています。今後は、地域の方々や訪れる方々との交流を深め、高田という町の魅力をより広く伝える活動にも力を入れていきます。
また、訪れた方々の体験が自然と発信され、さらに多くの人々へとつながるような仕組みも模索していきます。「浮遊のいえ」を通じて、建築の持つ力や美しさを伝え続けていきたいです。
■施設概要
施設名:浮遊のいえ
所在地:新潟県上越市大手町6-11
チェックイン:16:00〜21:00
チェックアウト:10:00
公式サイト:https://floatinghouse.snack.chillnn.com/