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【取材】北海道・美瑛に「Ubaku Villa 宇莫別荘」誕生 暮らすように滞在するプライベートヴィラ

投稿日 : 2026.02.04

北海道

新規ホテル情報

北海道美瑛町の一棟貸し宿「Ubaku Villa 宇莫別荘」が、2026年1月26日にグランドオープンした。
旭川空港から車で約20分、美瑛中心部から約10分の中宇莫別中部に位置し、約1,800平方メートルの敷地と延べ約117平方メートルの建物を1日1組限定で最大10人まで貸し切れる。食事提供は行わず、自炊やワーケーションに適した環境を整備。

観光を詰め込む旅ではなく「暮らしの余白に戻る滞在」を掲げ、空き家・築古不動産の再生を地域のモデルケースにしようとしている。2025年12月のプレオープンで運用を検証し、本開業に至った。

この記事では、「Ubaku Villa 宇莫別荘」のこだわりなどについて、プロデューサーであるUbaku Villaのmashu氏に取材した。

▷WEBサイト:https://ubakuvilla.com/

―――今回のグランドオープン(2026年1月26日)にあたり、2025年12月のプレオープン約1か月で見えた課題と、最終的に改善した点を具体的に教えてください。

12月のプレオープンでは、冬の美瑛で「長期滞在・自炊・ワーケーション」を想定したときに、ゲストがどこでつまずくか/どこに不安を感じるかを、できるだけ具体的に洗い出しました。
結果として、到着時の迷い、室温の体感差、ファミリー利用の安心感、設備の使い方の分かりやすさの4点が、改善余地として見えてきました。

まず、「エントランスの場所が分かりにくい」という声を受け、敷地全体の配置図を新たに作成し、建物のエントランス位置を明記しました。初めて訪れる方でも迷いにくい動線を整えることで、到着時の不安軽減につなげています。

次に「全館でストーブが1台のみで、寝室が寒く感じる」というご意見に対しては、オイルヒーター2台、湯たんぽ・電気湯たんぽを複数追加し、就寝時の体感を底上げしました。なお、厳寒期のエアコン運転による故障リスクを避けるため、エアコンのリモコンは設置していません。

さらに、ファミリー目線では「割れない子ども用食器があると安心」という声があり、旭山動物園で子ども用食器セットを2セット購入し、常設しました。

最後に、「館内設備の使い方が分かりにくい」という課題については、ハウスルールを作成し、日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語で併記しました。ストーブや洗濯機、炊飯器、電子レンジなど主要設備の使い方をまとめ、チェックインページには「館内設備の使い方」バナーを追加して、滞在前に確認できる導線も整えています。
こうした改善は、いただいた声をプレオープン期間中に順次反映し、グランドオープンに向けて体験品質を磨き込みました。

―――「暮らしの余白に戻れる滞在」を実現するために、空間づくり・備品・過ごし方の案内で意識していることがあれば伺えますか。

意識しているのは、“足しすぎないこと”です。旅先でも情報や刺激が多い時代だからこそ、宿の中では、滞在者が自分のペースに戻れる余白を残したいと考えています。

象徴的な例として、テレビはあえて設置していません。テレビはつけると無意識に長く見てしまいがちなので、その代わりにプロジェクターを設置し、「映画を見る」という行為を“自分で選ぶ”体験にしています。

館内には本のコーナーを設け、暮らし・インテリア・雑貨・エッセイなど幅広いジャンルを選書しました。外へ出て観光をしなくても、宿の中でゆっくり読書を楽しめる時間そのものが、滞在価値になると考えています。

さらに、ベッドを置いていない多目的ルームも用意しています。用途を固定せず、読書、作業、子どもの遊び場、荷物の整理など、滞在者それぞれの使い方に委ねることで、この宿の「余白」を空間として残しています。

―――元農家住宅の再生にあたって、改修方針として残したかった要素と変更した要素、その判断基準を教えてください。

残したかったのは、建物が持つ時間の蓄積や素材感です。一方で、現代の滞在として必要な快適性や安全性は妥協せずに更新する。判断基準は一貫して、「その要素がこの場所で過ごす時間の質を高めるかどうか」でした。

空間のつながりについては、外の景色をより取り込むために、キッチンとダイニングの間の壁を撤去して、ほぼ一体化しました。加えて、和室とダイニングの間にあった壁も取り除き、和室をリビングとして再構成することで、連続性と開放性を確保しています。

一方で、階段や手すり、2階多目的ルームと客室の引戸は既存のものを活かしました。古き良さを残しつつ、磨き直しやふすまの張り替えなどで丁寧に整えています。新しさそのものよりも、居心地と持続性を優先しました。

―――無人運営×二拠点運営で“丁寧な宿運営”を続けるために、品質を保つための具体的な運用を差し支えない範囲で教えてください。

無人運営にするほど、運営は“仕組み”と“現地連携”が重要になります。Ubaku Villaでは、ゲストが迷わず安心して滞在でき、かつ運営側が品質を落とさず継続できるよう、運用を設計しています。

入室まわりはスマートロックを導入し、ゲストがオンラインチェックインページで入室コードを確認できる仕組みにしました。さらにエントランスにはスマート防犯カメラを設置し、入室トラブル時にはカメラ越しにお声がけや現地状況を確認しながらメッセージ対応できる体制を構築しています。無人ではありますが、ゲストとの距離が遠くならないよう“つながっている状態”を常に意識しています。

問い合わせを減らすための情報設計も重視しており、

①HPの多言語FAQ
②予約後の自動メッセージ
③チェックイン3日前の自動メッセージ
④前日の自動メッセージ

という形で段階的に内容を分けています。事前チェックイン、アクセスや注意事項、入室方法などをタイミングごとに整理して案内することで、不安や質問が発生しにくい構造にしています。

清掃は、地元でカフェ経営と人材派遣を行っている会社と提携し、固定スタッフ3名体制で対応しています。現地研修から清掃マニュアル作成まで、すべてを丸投げするのではなく、私もアドバイスしながら丁寧に取り組んでいます。

また、トラブル対応は人材派遣会社の担当者と、改修工事を担当いただいた地元工務店の二重体制とし、緊急時には駆けつけていただける体制を整えています。

―――Ubaku Villaの運営を通じて、美瑛での中長期滞在や「暮らすように滞在する」旅を広げるために、今後取り組みたいことを展望としてお聞かせください。

Ubaku Villaの運営を通じて、美瑛を「観光する場所」から「滞在して暮らしを感じる場所」へと広げていきたいと考えています。まだ開業から1か月ほどですが、1月・2月の稼働率はすでに8割近くとなっており、心強いスタートを切ることができました。

今後は、東京での人脈を活かし、法人の研修利用や療養所的な使い方の提案、閑散期のマンスリー利用の強化など、滞在の幅を広げていきたいです。あわせて、地元の飲食店、農業体験、牧場見学など、中長期滞在に不可欠な地域コンテンツを整理・連携し、より心豊かな滞在となるモデルプランの提供にも取り組みます。将来的には、2件目の施設についても前向きに検討しています。

■施設概要

名称:Ubaku Villa 宇莫別荘
WEBサイト:https://ubakuvilla.com/
所在地:北海道上川郡美瑛町中宇莫別中部
運営形態:1日1組・無人型貸切宿
延べ面積:約117平メートル
定員数:1名~10名
部屋数:4室
敷地面積:約1,800平メートル

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