中国・台湾などの海外プロモーションやインバウンド支援を行うインタセクト・コミュニケーションズ株式会社は、中国からのインバウンド観光が回復基調にある中、最新動向を探るため、訪日旅行経験のある中国人を対象に「日本旅行中のSNS発信に関する調査」を実施した。本調査は、テンセント社が提供するメッセンジャーアプリ「WeChat」上のアンケート機能を使用し、日本旅行の経験がある中国在住者(回答者数:計607人、うち本調査の対象者は318人)を対象に、2024年6月に実施したものである。
調査の結果、多くの中国人旅行客はSNSで日本での旅行体験や口コミを頻繁にシェアすることがわかった。日本旅行経験者のうち、毎日1回程度シェアすると回答した人が29.2%、毎日2回程度シェアすると回答した人が16.7%、毎日3回以上頻繁にシェアすると回答した人が10.1%に上り、半数以上が毎日SNSで体験談をシェアしていることが明らかになった。一方で、旅行体験をSNSにシェアしないと回答した人は5.7%にとどまった。
シェアするSNSや口コミサイトでは、中国版LINEとも呼ばれる「WeChat」の機能「WeChatモーメンツ」が最も多く89.0%、次いで中国版インスタグラム「RED」が51.3%、中国版TikTok「抖音(ドウイン)」が42.1%、中国版Xとも称される「Weibo」が35.8%となり、SNSが主流となっている。一方で、中国最大級の口コミサイト「大衆店評」への投稿は16.0%、旅行サイト大手の「Ctrip」への投稿は11.0%にとどまっている。口コミを書こうとしたときに、対象の店舗や施設のページが見つからなかったことがあるかについては、「よくある」と「たまにある」を合わせると、78.9%が思い通りに投稿できなかった経験があることがわかった。
さらに、SNS等にシェアする撮影スポットに関しては、日本を象徴する景色である「桜」が人気で、65.7%が「よくシェアする」と回答し、「たまにシェアする」と合わせると94.6%に上った。次に「雪景色」、「川・海」が続いた。街並みや建物では、「伝統的な街の風景」をよくシェアするが56.0%、「近代的な街の風景」をよくシェアするが48.4%で上位に入っている。一方で、外国人旅行客に人気といわれる、聖地巡礼など「アニメ等のキャラクタースポット」や「寺・神社」などは、中国人旅行者を対象にした同調査では上位には入らなかった。
撮影したものをシェアする感情としては、「綺麗、芸術的と感じた時」が最も多く、92.1%がシェアしたい感情になると回答している。その他にも、「初めて見たと感じた時」や「おいしいと感じた時」など、ポジティブな感情に対して8割以上の人がシェアしたいと回答している。
今回の調査から、中国人旅行者の半数以上が日本滞在中に毎日1回以上、自身の旅行体験や口コミをSNSなどに投稿し、積極的に情報発信していることがわかった。シェアする写真や動画の撮影スポットで人気なのは、日本の自然にまつわる場所で、特に桜や富士山など日本を象徴する自然の風景は非常に人気である。投稿内容はポジティブなものが多く、感情を揺さぶられたものを投稿する傾向が強い。中国はUGC(User Generated Content)文化が強く、このようなSNSを見た人が、自分たちも同じ場所を訪れてSNSに投稿する流れが多くある。そのため、中国インバウンド対策には今後もSNSプロモーション等が重要視されるであろう。