メトロエンジンが日本全国の市区町村の宿泊施設向けに民泊によってホテルなどの宿泊施設の稼働率が影響を受けた指標「民泊影響稼働率」の提供を開始した。東京、大阪、京都の民泊影響稼働率の分析と合わせて。
国内初、市場調査ツールに民泊影響稼働率
宿泊施設向けに人工知能を使ったレベニューマネジメントツール「メトロエンジン」を提供するメトロエンジン株式会社は6月13日、市場調査ツールに民泊によって宿泊施設が受ける影響稼働率「民泊影響稼働率」の日本全国の市区町村レベルの指標を追加し、提供を開始したことを発表した。
訪日外国人観光客の利用増加や6月15日の住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行により注目が高まる民泊だが、ホテルやオペレーター、投資ファンド、投資銀行、銀行、調査企業、デベロッパーなどの宿泊関連事業者が実際にどれほどホテルの運営と稼働率に対して民泊が影響を与えているのか、推し量るための客観的な情報を取得することは困難であった。
そこで、メトロエンジンは民泊によりどの程度ホテルの稼働率が影響を受けているのかについて、メトロエンジンのみが所有する国内民泊ビックデータに基づき「民泊影響稼働率」の日本全国の市区町村レベルの指標を、人工知能を使ったレベニューマネージメントツール「メトロエンジン」の市場調査ツールに追加した。
民泊影響稼働率とは
本サイトでも紹介したメトロエンジンが定義する民泊影響稼働率とは、下記のものとなる。
「民泊影響稼働率」
民泊影響稼働率(%) = 民泊実稼働数(A) / ホテル客室数(B) ×100
民泊実稼働数(A) = 該当エリアの民泊物件数 × 民泊稼働率
ホテル客室数(B) = 該当エリアのホテル客室数(ビジネスホテル・シティホテル)
以下具体的に、三大都市の東京、大阪、京都を事例として民泊影響稼働率を見てみよう。
23区内でもばらつきが多い東京都
民泊影響稼働率が10%前後で推移する東京都23区だが区によってその影響にもばらつきがある。まず都内で最大の客室数をほこる港区から見てみよう。
・東京都港区
出典:メトロエンジンリサーチ
上記のグラフの通り、富裕層の多い港区の民泊影響稼働率は5.85%(5月1日現在)と低位になっており、年間の数値も3.5%〜6%と低い水準で推移している。続いて日本最大の繁華街新宿を見てみよう。
・東京都新宿区
出典:メトロエンジンリサーチ
新宿区の民泊影響稼働率は30.13%(5月1日現在)と極めて高い数値を示しており、年間の推移でも17%〜30%で港区とは対照的に、東京都23区内でもトップの数値を示した。
民泊の影響強い大阪
続いてホテルの稼働率が全都道府県トップで、民泊の影響も強いと考えらえる大阪の事例を見てみよう。
・大阪市
出典:メトロエンジンリサーチ
大阪市では、民泊影響稼働率は19.19%(5月1日現在)を示し、港区や新宿区と同様に春先から5月にかけてその影響が高まっているのがわかる。
最後に京都の事例を見てみよう。
民泊に警戒感が強い京都でも民泊は顕在
民泊への規制を予定する京都市だがどの程度その影響を受けているのだろうか。
・京都市
出典:メトロエンジンリサーチ
京都市における、民泊影響稼働率は22.13%(5月1日現在)で、冬季には10%近くまで下がっており、観光による季節性によって上下が激しいのが京都市の特徴となっている。
このように、宿泊施設が受ける民泊の影響は都道府県・市区町村によってもさまざまで、全国一律のデータでは把握できないような詳細な情報に基づいた分析をメトロエンジンのみが所有する民泊ビックデータが可能とする。
民泊影響稼働率は民泊を使用しなかった場合に全てがホテル等の宿泊施設に流れることを仮定した数値であり旅行自体を取りやめる、友人宅に泊まる等のそれ以外の要素を考慮に入れていないが、宿泊施設に与える民泊の影響をはかる一つの客観的データとしては、非常に意義のある視座と言えるだろう。
明日、6月15日に迫る民泊新法施行により、この数値がどのような変貌を遂げていくのか注目してレポートを続けていきたい。
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