株式会社JTB総合研究所は、生成AIの利用と旅行に関するアンケート調査を実施し、生成AIが旅行の計画や実施においてどのように活用されているのかを明らかにした。ウェブアンケート調査は、過去1年以内に1回以上泊りがけの観光旅行をした経験があり、かつ生成AIを週に数回以上利用している人432名を対象に行われ、さらに日常的に生成AIを利用している人29名に対するウェブインタビュー調査も実施された。
(出典:株式会社JTB総合研究所)
調査によれば、週1回以上生成AIを利用する人のうち、77.8%が旅行に関連して活用した経験を持つことが示された。特に20代女性では89.3%、30代男性では85.7%と高い割合を占め、若年層を中心に利用率が高い傾向が見られる。旅行において生成AIを利用したい内容としては、旅行の行程作成やルート提案、交通手段の検索や予約、旅行先のグルメ情報の検索が上位に挙げられた。さらに観光スポットの解説や混雑状況の予測といったリアルタイム性の高い情報提供への期待も確認された。
一方で、生成AIの利用には課題も存在する。最も多く指摘されたのは「正確な情報でない場合がある」という点である。生成AIは最新情報や現地の変化に必ずしも対応しきれず、得られた情報に基づく判断が旅行中のトラブルにつながる可能性もある。また、その際の責任の所在が不明確で、旅行者自身が不利益を被ることも懸念される。そのため、観光事業者には生成AIでは補いきれない安心や安全の担保、信頼性の高い情報の選定と提供、さらにはトラブル時に責任を持って対応できる体制の整備が一層求められると考えられる。
(出典:株式会社JTB総合研究所)
なお、旅行以外の分野においても生成AIの存在感は高まっている。調査全体では46.7%が生成AIを利用しており、特に20代女性の61.4%、30代男性の57.0%と若年層での利用率が顕著であった。主な利用場面としては、知りたいことが漠然としているときや、仕事や学業の効率を上げるための活用が多く、さらに画像や動画の生成、日常の相談事、人生設計やキャリア相談など多様な用途が挙げられた。利用者は生成AIを「高度な情報検索ツール」として捉える一方で、「良き相談相手」や「信頼できる友人」とみなす声もあり、生活の中で一定の心理的役割を果たしていることが示されている。