(出典:JNTO)
JNTOの発表によると、2024年10月の訪日外客数は3,312,000人で、前年同月比で31.6%増加し、2019年同月比でも32.6%増加した。コロナ禍以前の2019年10月の訪日外客数2,496,568人を大きく上回り、9か月連続で同月最高記録を更新している。さらに、10月までの訪日者数の累計は30,192,200人に達し、1964年の統計開始以来、過去最速で3,000万人を突破した。
2024年10月の訪日外客数は、2023年10月と比較して約79万人増加し、前年同月比で31.6%の伸びを示している。また、2019年10月と比べても約33%増加しており、2024年9月と比較しても約44万人の増加を記録した。この増加は、秋の観光需要の高まりや国内外でのプロモーション活動が寄与していると考えられる。紅葉シーズンを迎え、多くの市場で訪⽇需要の高まりがみられたほか、東アジアでは中国、東南アジアではシンガポール、欧⽶豪・中東地域では⽶国などで前年同月に⽐べて訪⽇外客数が増加したことが今月の押し上げ要因となった。 今後も安定した訪日外客数を維持するためには、季節変動に対応した柔軟な施策の実施が求められるであろう。
(JNTOの資料を基に作成)
日本人の出国者数に目を向けると、2024年10月は1,148,400人で、前年同月比では22.5%増加した。しかし、コロナ禍前の2019年10月の1,663,474人と比較すると依然として-31%を記録する状態となっている。2024年9月と比較しても約6万5,000人出国者が減少しており、出国日本人数は回復傾向にあるものの、完全な回復にはさらなる時間が必要であると予測される。
2024年10月において、訪日外客数が最も多いのは韓国からで、732,100人が訪日している。前年同月比では16%増加し、2019年同月比で約271%増加した。9月と比較しても約75,000人増加しており、秋の旅行シーズンに向けた韓国市場の好調ぶりが見て取れる。
(JNTOの資料を基に作成)
訪日者数が多い国は韓国に次いで中国、台湾、アメリカ、香港が続く。訪日者数2位となった中国は2024年10月に582,800人が訪日している。前年同月比で約127%増加しているが、2019年同月比では20.2%減少している。また、9月の652,300人と比較すると約69,500人減少しており、政治・経済的要因やシーズンなど様々なものが中国からの訪日者数に影響を与えている可能性が考えられる。
台湾からは478,900人が訪日しており、前年同月比で12.7%増、2019年同月比で15.8%増を記録した。9月の470,600人と比べて微増しており、安定した需要が見られる。台湾に上陸した台風の影響で航空機の欠航等はあったものの、日本各地へのチャーター便を含む地方路線の増便や国慶節等の影響もあり、訪日外客数は10月として過去最高を記録した。
アメリカからの訪日者数は278,500人であり、前年同月比で31.5%増加し、2019年同月比でも同数を記録した。アジア諸国とは異なり、9月と比べて約86,600人増加しており、秋の旅行需要が高まっている。また、円安による旅行コストの低下や直行便数の増加、祝日等の影響もあり、訪日者数が好調に保たれていると考えられる。
最後に香港からの訪日者数は198,800人で、前年同月比で10.9%増加し、2019年同月比でも10%増加している。9月と比べても約28,600人増加しており、安定した訪日需要が伺える。地方路線の増便に加え、国慶節等の影響もあり、訪日外客数は 10 月として過去最高を記録した。
2024年10月の訪日外客数は、観光需要の高まりと各国での積極的なプロモーション活動が奏功し、記録的な伸びを示した。紅葉シーズンを迎え、地域ごとの特性や市場の動向を的確に捉えた施策が功を奏した一方で、中国や台湾など一部の市場では経済や気候要因の影響が一部に見られることも明らかとなった。こうした成功と課題を踏まえ、日本が今後も持続的に訪日外客数を伸ばすためには、各国市場に応じた柔軟な施策や観光インフラの強化が鍵になると考えられる。