JNTOの発表によると2024年6月の訪日外客数は3,135,600人となり、前年同月比で51.2%増、2019年同月比で8.9%増を記録した。この数値は2019年6月の2,880,041人を25万人以上上回っている。また、上半期の累計訪日外客数は17,777,200人となり、過去最⾼を記録した2019年の上半期を100 万人以上上回る結果となった。
(出典:JNTO)
2024年6月の訪日外客数は昨年2023年の6月と比較して100万人以上増加した。コロナ禍前の2019年6月と比較しても、2019年6月の訪日外客数が2,880,041人だったのに対し、今年6月は3,135,600人と8.9%の増加がみられる。また、前月の2024年5月の3,040,100人と比較しても約3.14%訪日外客数は増加している。この結果から、日本の観光業はコロナ禍から回復しつつあり、訪日外客数が順調に増加していることがわかる。この増加傾向は、観光政策の成功や国際的な旅行需要の回復を反映しているのではないかと考えられる。
(JNTO資料を元に作成)
一方で日本人の海外旅行者である出国日本人数は、2024年6月に930,200人であった。これは昨年6月と比べると32.3%増、2024年5月比で約1.24%増であるが、2019年6月と比較すると38.8%減少している。日本人の海外旅行は前年より回復傾向にあるものの、コロナ禍前の水準には達していない。日本人国内旅行者が2024年5月に39,460,000人であったことからも、日本人にとって国内の観光需要は高い一方、海外旅行への需要はまだ完全には回復していないと推測される。
中国人訪日外客数は、昨年と比較して著しく増加した。昨年6月の訪日数は208,573人だったのに対し、今年6月は660,900人と、約45万人の増加を記録した。伸び率は216.9%増である。しかし、コロナ禍前の2019年6月の訪日数880,651人と比較すると25%の減少という結果になる。コロナ前の水準に戻るにはもう少し時間がかかるであろう。ただ、前月2024年5月の中国人訪日外客545,400人と2024年6月を比較すると、約21.2%増加しているため、着実な回復傾向がみられる。
(JNTO資料を元に作成)
中国以外の各国に目を向けると、今月の訪日外客数が多かった国は前月に続き上位から韓国、中国、台湾、アメリカ、香港だった。これらの国々の訪日外客数についても、前年同月比、2019年同月比、2024年5月比でそれぞれ見ていく。
訪日外客数1位となった韓国の2024年6月の訪日数は703,300人だった。昨年の6月と比較すると29%増加しており、2019年の6月と比較しても14.9%増となっている。2024年5月の訪問数は738,800人であり、今月と比較して4.8%減少した。前月比では訪日数がやや減少したものの韓国からの来日者は6月として過去最高を記録した。
2位は中国であり、結果は上記のとおりである。3位の台湾からの訪日外客数は前年比で47.7%増加し、2019年6月比でも24.6%増であった。さらに前月と比較しても23.3%の伸率を記録している。このことから、台湾からの訪日数は安定して増加しており、要因としてはスクールホリデーや祝日等の影響が挙げられる。なお、台湾からの訪日外客数は単月として過去最高を記録した。
4位のアメリカは2024年6月に296,400人が訪日しており、昨年6月の訪日数226,806人から30.7%増加した。2019年6月の175,491人と比較すると約69%も増加している。前月比も23.8%増であることから、アメリカからの訪日外客数は増加を続けており、安定した人数が日本に来ていることがわかる。これはスクールホリデーや航空機の直行便の増加などが影響していると考えられ、アメリカについても台湾と同様に訪日外客数が単月として過去最高を記録した。
最後に訪日外客数5位の香港でもスクールホリデーや祝日等の影響で訪日数は増加した。2024年6月の訪問者数は250,600人であり、昨年同月比34.5%増、2019年6月比19.9%増、さらに同年前月比15.2%増と、いずれの期間で比較しても増加していることがわかる。
2024年6月の訪日外客数は前年の6月と比較して大幅に増加しており、コロナ禍前の2019年6月、さらに今年5月と比べても増加している。2024年5月と6月の比較での伸率は微増にとどまっているが、前年比では100万人以上も訪日者が増え、安定したインバウンド需要があると考えられる。特に中国からのインバウンドの増加率は216.9%を記録し、その他の国々でも前年比はプラスに転じる国がほとんどであった。また、先月記事に引き続きアジアからの訪日者がランキング上位を占めており、特にアジア諸国に向けたインバウンド対策をとることが、今後の訪日外客数をさらに伸ばす鍵になるであろう。