(出典:株式会社ナビタイムジャパン)
株式会社ナビタイムジャパンのNAVITIMEデータ分析チームは、訪日外国人観光客向けのナビゲーションアプリ『Japan Travel by NAVITIME』の利用状況に基づき、2024年度の訪日外国人旅行者による鉄道利用動向の分析結果を発表した。
分析は、2023年4月から2024年3月と、2024年4月から2025年3月を比較し、訪日外国人旅行者の利用者数が増加した鉄道を対象とした。分析の結果、鉄道利用者数の増加率上位5路線が明らかとなった。トップはえちぜん鉄道であり、2023年度利用者数の2.21倍の増加を記録した。次いでIRいしかわ鉄道が2.05倍、秋田内陸縦貫鉄道が2.04倍、仙台空港鉄道が2.00倍、北大阪急行電鉄が1.81倍と続いた。
(出典:株式会社ナビタイムジャパン)
えちぜん鉄道の利用者の当日の滞在エリアを確認すると、福井県立恐竜博物館や大師山清大寺(越前大仏)、東尋坊、大本山永平寺での滞在が確認されており、沿線の観光地を訪れるために鉄道を利用している様子がうかがえる。2024年3月に北陸新幹線が延伸されたことにより福井へのアクセスが向上したこと、また延伸開業にあわせて運行開始された「恐竜列車」や「えちぜん鉄道カイリュートレイン」(2025年4月24日時点で運行休止中)などの観光施策も増加の一因と考えられる。えちぜん鉄道によると、「主要観光施設に行くために使っていただくことが多い」とのことである。
(出典:株式会社ナビタイムジャパン)
IRいしかわ鉄道の利用者については、加賀温泉駅を最寄りとする加賀温泉、山代温泉、山中温泉での滞在が多く見られたほか、白川郷や高山での滞在も確認された。地域別では、欧州からの来訪が特に多い傾向にある。また、北陸新幹線の延伸に伴い、金沢駅~大聖寺駅間がIRいしかわ鉄道線に編入されたことも、利用者増加の要因の一つであると考えられる。
(出典:株式会社ナビタイムジャパン)
秋田内陸縦貫鉄道の利用者については、日本三大樹氷の一つである森吉山の樹氷で知られる森吉山阿仁スキー場や、田沢湖、乳頭温泉郷での滞在が確認された。秋田内陸縦貫鉄道によると、「県全体でインバウンド向けのプロモーションは20年以上行ってきた。コロナ禍前頃から個人旅行客の誘致に力を入れてきた。阿仁スキー場は今年特に欧米系の方に人気だったように思う」とのことである。また、月別の利用者数の推移を確認すると、樹氷シーズンにあたる冬期に利用者が増加し、2月にピークを迎えていることが明らかとなった。
(出典:株式会社ナビタイムジャパン)
仙台空港鉄道の利用者については、仙台や松島、山形、蔵王、銀山温泉など、他の公共交通機関や交通手段を利用して東北地方の観光地を訪れている様子が確認された。仙台空港が東北観光の拠点として機能し、仙台を中心とした周遊観光に利用されていることが示唆される。国別に見ると、台湾と香港からの利用が多く、直行便の就航も要因の一つと考えられる。仙台空港の発表によれば、国際線の旅客数は2023年度から38.8%増加しており、インバウンド需要によるものと見られる。
(出典:株式会社ナビタイムジャパン)
北大阪急行電鉄の利用増加については、2024年3月に千里中央駅~箕面萱野駅間が延伸されたことが要因と考えられる。延伸により観光地へのアクセスが向上し、利用者の増加につながったものと推察される。利用者の当日の滞在エリアとしては、道頓堀や勝尾寺が多く挙げられており、勝尾寺は「勝ち運の寺」「勝ちダルマの寺」として知られ、桜や紅葉の名所としても人気である。また、月別の利用者数の推移を見ると、11月と3月にピークを迎えており、紅葉や桜のシーズンに多くの来訪があったことがうかがえる。