2023年1-3月期における米ホテル大手3社、ハイアット・ホテルズ、マリオット・インターナショナル、ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスの決算がまとまり、その結果が発表された。新型コロナウイルスに関する規制緩和が進んだアジア地域での強い宿泊需要を受け、これら3社の売上高は前年同期と比べてそろって3割増を記録した。
(出典:マリオット・インターナショナル)
ハイアットの売上高は約2250億円と、前年同期比31%増の実績を達成。最終損益も前年同期の赤字から転じて黒字に転換した。また、マリオットとヒルトンもそれぞれ3割の増収を見せた。新型コロナの規制緩和が進んだアジア地域がこれらの成果をけん引している。
特に、マリオットでは、アジア・太平洋地域(中国除く)のホテル1室当たりの収益力を示す「RevPAR」が前年同期の2倍以上に高まった。中国でも、感染抑止のための「ゼロコロナ政策」が長引いた影響を挽回し、RevPARは78.3%増の76.06ドルに回復した。
カード大手アメリカン・エキスプレスの1-3月期決算によると、旅行・娯楽の取引高が前年同期比で58%増加し、レジャー需要が依然として堅調であることが伺える。これを受け、ホテル大手3社は2023年12月期の通期業績予想を一斉に上方修正した。
しかし、一方で米地銀の相次ぐ破綻が消費に与える影響を懸念する声も存在する。ヒルトンのCEOは「現実的に考えて、23年7-9月期から10-12月期にかけて勢いが減速すると想定している」と述べている。
また、関連費用の上昇も見逃せない。旅行予約サイト「ホッパー」によると、23年初の航空運賃は前年同時期と比べて約20%、ホテル料金は50%以上上昇した。これが持続すれば、需要の低迷につながる可能性もある。旅行者の需要と供給状況のバランスを見極めた価格設定が求められる局面になっている。
ホテル業界は、旅行者の需要と供給状況のバランスを見極めることが求められる今、適切な価格設定とサービスの提供がより一層重要となる。適応力と戦略的な意思決定が求められる局面に立たされている。