神奈川県箱根町が6月5日、2017年入込観光客数を発表した。箱根では火山活動により一時減少していた観光客だが、3年ぶりに大台の2千万人を回復した。箱根町が規制条例を定める民泊の展開について合わせてレポートする。
箱根町の観光が回復
箱根町で2015年に活発化した火山活動の影響により減少していた観光客が2017年大幅に回復した。
入込観光客数は、2,152万人(前年比110.0%)と前年から増加。内訳としては、宿泊客が469.4万人(前年比108.2%)日帰り客が1682.6万人(前年比110.5%)となった。
宿泊客は、ホテル・旅館は、407万人(前年比109.2%)、寮・保養所が、55万人(前年比102.6%)、その他民宿、国民宿舎、ユースホステル、ペンション、キャンプ場が6.6万人(前年比95.6%)となり、その他の施設は施設の閉鎖等により減少したものの、ホテル・旅館が前年から増加した。
なお、過去最高の入込観光客数は、バブル期の1991年2,247万4千人となっており、2018年その数を突破するかどうか注目される。
訪日客中心に増加、修学旅行客の減少続く
国内客が、414万人(前年比107.5%)であったのに対して、外国人観光客は54.6万人(前年比118.0%)と訪日客が特に大きな伸びを示した。
他方で、修学旅行客については8千人(前年比34.7%)と大幅に減少した。一部施設のリニューアル工事に伴う休館やテーマパークなどへの修学旅行先の多様化、少子化等の影響が重なり大きく減少した。
昭和40年代には年間70万人が修学旅行で訪れたが、2014年には4万5千人となり、2015年の火山活動活発化で、4925人に激減、2016年には2万人を回復したが、2017年再度の減少となった。修学旅行客の減少は、受け入れ先となってきた大規模な旅館の稼働率に大きな負の影響をもたらし、訪日客の誘致で成功するホテルやゲストハウスなどとは対照をなしている。
民泊の展開にも注目
メトロエンジンリサーチによると、箱根町では現在宿泊施設が326、部屋数で7,388確認された。
また、民泊について箱根登山鉄道沿線や箱根新道沿線、芦ノ湖周辺において112室営業されていることが確認され、物件・部屋としては以下のような特徴・傾向を持っている。
出典:メトロエンジンリサーチ
箱根町では民泊に関して、同町の都市計画区域面積のうち約2割にあたる別荘地において、3月1日~6月1日と8月1日~9月1日、10月1日~12月1日の観光シーズンの一定期間において営業禁止とする条例を定めている。観光シーズンにおける近隣の生活環境悪化への懸念と観光客を閑散期に分散させたい意図がある。
箱根町では外国人旅行客が集まるゲストハウスなども人気を集める中、来週に迫る民泊新法施行により、簡易宿所などに転換されるのか、民泊として営業を続けるのか、廃業が増えるのか、その影響がどのように出てくるか今後の展開が注目される。
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