帝国データバンクは2021年12月29日15時時点の新型コロナウイルスの影響を受けた倒産が、全国で2,368件確認されていると発表した。そのうち「ホテル・旅館」は120件となっている。
2021年の新型コロナ関連倒産は1,770件
倒産の内訳は法的整理が2,426件、事業停止が186件確認されている。このうち、2021年に発生したのは1,770件で2020年の倒産件数842件の約2.1倍だ。
発生月別では「2021年9月」が179件で最多。2021年に感染者数がピークとなった感染第5派の影響が大きい。
現時点で2021年12月発生の倒産は107件。2020年12月以降、13ヶ月連続での100件超えとなった。
業種別では「ホテル・旅館」が120件。最も多い業種は「飲食店」の438件で、「建設・工事業」279件、「食品卸」133件、「ホテル・旅館」120件と続いている。ホテル・旅館、旅行業、観光バス、土産物店などの観光関連事業者の倒産は223件に上る。
都道府県別では「東京都」の535件が最多。以下「大阪府」の269件、「神奈川県」の153件、「福岡県」の133件、「兵庫県」の126件、「愛知県」の107件と続く。東京と大阪で全体の30.8%、1都3県で全体の32.0%を占める結果となっている。
■2021年の傾向
2021年の傾向として建設・工事業の倒産増加が目立った。2020年9月末時点の建設・工事業の倒産件数は33件で、ホテル・旅館などを下回っていたが、2021年に入り急増。飲食店に次ぐ多さとなった。
新型コロナ発生直後から影響を受けた飲食店やホテル・旅館、アパレルショップが感染拡大に伴う店舗・施設の休業、閉鎖、倒産などによって受注が大きく減少。その影響が2021年に倒産という形で表面化したと見られる。
帝国データバンクは、2022年も飲食店と建設・高事業を中心とした新型コロナウイルス関連倒産は100県を超える月が続くと予想している。
4月より発出されていた緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置は9月30日を持って全都道府県で解除。各地域で地域観光支援を利用した県民割などが再開されているが、ホテル・旅館をはじめとした観光関連事業者は厳しい状況が続いている。「Go To 2.0」の再開についても来年1月再開、2月再開などの報道も出ているが、一刻も早い行政によるサポートが望まれる。
■新型コロナウイルス関連倒産について
帝国データバンクによる「新型コロナウイルス関連倒産」とは、原則として新型コロナウイルスが倒産の要因(主因または一要因)となったことを当事者または代理人(弁護士)が認め、法的整理または事業停止(弁護士に事後処理を一任)となったケースを対象としている。個人事業主および負債 1000 万円未満の倒産も カウントの対象としているほか、事業停止後に法的整理に移行した場合、法的整理日を発生日としてカウントしている。