藤田観光は10月4日に「ホテルグレイスリー浅草」を開業する。浅草駅より徒歩3分の好立地で、ホテルグレイスリーブランドは10軒目。また、同社はソウルにホテルグレイスリーブランドとして初の海外展開も実施する。同社の2017年業績からその背景と今後の展望に迫る。
ホテルグレイスリー浅草ー和をモチーフに全室禁煙
藤田観光によると、藤田観光は「ワシントンホテル」、「ホテルグレイスリー」ブランドの宿泊主体型ホテルを全国35ホテル展開しており、ホテルグレイスリーブランドとしては昨年5月に「ホテルグレイスリー京都三条 南館」をオープンさせたばかりで、同ホテルは10店舗目となる。
客室は、浅草らしく下町を感じさせる「和」をモチーフにしたアートや色使いを随所にちりばめたデザインとし、「独立型バスルーム」を導入するとともに英国王室も認めるスランバーランド社と共同開発したオリジナルベットを全室に設置。無料Wi-Fiや高品質なアメニティ類などを設置する。
フロントではコンシェルジュサービスを実施し、観光情報の提供などサービス面の充実を図る。また、レストランでは手作りの洋食を中心にしたブッフェ料理に加え、ライブキッチンではシェフお勧めの出来たて料理を提供する。
また、藤田観光として初めて全客室を禁煙とし、1階ロビーの喫煙ブースで分煙化を推進する。
浅草駅から徒歩約3分、観光名所の「雷門」にも徒歩圏内のロケーションで、羽田空港や成田空港にもアクセスが良くビジネス、観光・レジャーの拠点としての活用を推奨する。
客室数は125で料金は25,000円〜となっている。
出典:藤田観光
ホテルグレイスリーソウルー初の海外進出
また、藤田観光はグレイスリーホテルとしては初となる海外進出をはかり、8月31日に「ホテルグレイスリーソウル」を開業する予定となっている。
ホテルグレイスリーソウルが位置するのはソウル明洞エリアの南大門地区で、日本からの旅行客も多く訪れる観光地。ホテル周辺は、外国人が好む24時間営業の飲食店が多く、近隣には「北倉洞(プッチャンドン)グルメ横丁」があり、また、ショッピングエリア「南大門市場」までも徒歩3分とソウル内の観光地にも便利なロケーションとなっている。
フロントでのコンシェルジュサービスによる観光情報の案内では、日本語対応可能なスタッフを常駐させ、日本人観光客の取り込みをはかる。
客室数は335室、一泊15,000円ほど。
好業績の藤田観光のホテル運営ー訪日客の獲得に成功
藤田観光は、本年5月にグランピング施設「藤乃煌(FUJINOKIRAMEKI)」を開業し、8月には長崎五島に北欧のノルディスクヴィレッジを開業させるなど新規開業を相次いで発表している。
以下は、同社の2017年の事業報告の内容になる。
出典:藤田観光
上記の連結損益計算書によると、売上高は前期比18億3千万円増収の706億2千万円、営業利益は2億8千万円増益 (前期比16%増)の19億9千万円、経常利益は3億4 千万円増益(前期比20%増)の20億4千万円と、売上高、営業利益、経常利益すべてにおいて前年比で大幅増となった。また、当期純利益は16億8千万円で、前期比で倍増させている。
藤田観光は、昨年も4月に「箱根小涌園 天悠」を5月に「ホテルグレイスリー京都三条 南館」を開業させており、積極的な投資策が成功を収めているのがわかる。同社の好業績の背景には訪日外国人観光客の取り込みの成功があり、2017年同社の訪日外国人延べ宿泊者数は前期比22.5%増の174万人となり、宿泊者数の約4割を占めた。ホテルグレイスリー浅草を全室禁煙としたのもさらなる訪日外国人観光客の獲得を意識してのものと言えるだろう。
さらに、同社は、来年には台湾へのホテル進出や新ブランドの投入も予定しており、さらなる新規ホテル開発をはかる同社の動きに市場の注目が高まっている。
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