帝国データバンクによると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2月末から10月12日の間に倒産したホテル・旅館は59件に上ることが明らかになった。
帝国データバンクは10月12日、「新型コロナウイルス関連倒産」動向調査 の結果公表を行った。調査結果によると、新型コロナウイルスの影響を受けた倒産(法的整理または事業停止、負債1000万円未満・個人事業者含む)は全国で602件が確認された。
業種別の内訳は、以下の通り。
- ・居酒屋やレストランなどの飲食店が86社
- ・ホテルや旅館が59社
- ・アパレル小売店が43社
発生月別では、2月(1件)、3月(16件)、4月(79件)、5月(72件)、6月(115件)、7月(112件)、8月(101件)、9月(100件)、10月(6件)で6月が最多となっている。
都道府県別では「東京都」(145 件)が最多。以下、「大阪府」(64 件)、「北海道」(30 件)、「兵庫県」(28 件)、「愛知県」(27 件)、「神奈川県」(26 件)、「静岡県」(24 件)と続き、47都道府県すべてで発生している。
倒産したホテル・旅館の中で負債額が最も大きいのは、約160億円のリゾートホテル事業のWBFホテル&リゾーツ(株)。次いで、(株)ロイヤルオークリゾートが約50億、ホテル一萬里(株) が約30億。また、旅行業の(株)ホワイト・ベアーファミリーの負債額は約270億円で旅行業者において過去最大の倒産となっている。
政府の観光支援策「GoTo トラベル」の開始から早3カ月。新型コロナウイルスの影響で苦境に立つ宿泊施設などを支援する目的で始められたものの、宿泊事業者の廃業や倒産が全国で相次いでいる。
中でも中国や韓国からの訪日外国人によるインバウンド需要の恩恵を受けていた宿泊施設が大打撃を受け、「GoTo トラベル」開始後も客数の減少が続く。資金繰りの悪化などの理由で、廃業を選択せざるを得ないホテルや旅館が増加している。
8月以降は特に民宿など小規模事業者が苦戦を強いられている状況で、「GoTo施策では高級宿だけが恩恵を受けている」という批判や「ホテル業界だけに留まらず地域経済への影響も大きい」と懸念の声も上がっており、倒産が連鎖しかねない危機的状況に陥っている。
参考:帝国データバンク「新型コロナウイルス関連倒産」動向調査