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民泊事業者の競争力〜民泊はホテルの競合となるのか!?③〜

投稿日 : 2018.05.31

バケーションレンタル

民泊はどれほどの競争力を有しているのか。連載第三回となる今回は、民泊を事業展開し旅行客を受け入れる運営側のコストを切り口に民泊の競争力とトレンドを分析していく。

 
民泊運営の費用
民泊運営にかかる費用としてはどのようなものがあるのか。
初期費用として、
・物件取得費用
・ベットなどの家具、家電類
・インターネット環境
・防火設備
また、ランニングコストとして、
・清掃
・光熱費水道代、通信料
・保険
・消耗品
・仲介サイト手数料
・ローン
・管理代行費用
ほか税などがある。
 
既存の住宅を活用できれば、初期費用はほとんどかけずに開始することも可能だが、ランニングコストの中で最も負担が大きいのが清掃費用である。
 
清掃費用の高騰による価格競争力の低迷
清掃業者に依頼した際にかかる費用の内訳は以下のようなものとなる。
・清掃料金
・コインランドリー・洗濯料金
・業者の交通費・駐車場代
・消耗品の購入代行手数料
・清掃用品代
民泊は部屋数がホテルに比べて少なく、個々の物件の清掃対応を必要とし規模のメリットが働かないため、人件費がかさみ清掃料金が高騰しやすい。
また、宿泊施設における清掃員の人手不足も重なって現在清掃料金が高騰傾向にある。
具体的な清掃費用としては部屋サイズにもよるものの、ワンルームで、東京都内で5,000-7,000円、大阪府内で4,000-6,000円もの費用がかかる。
この清掃費用は一般的なビジネスホテルの宿泊料金に匹敵するものであり、これでは民泊がまともにホテルと競争することはできないことがわかる。このため、短期滞在でも利益を出せるのは観光シーズンやコンサートや受験などの大規模なイベントの近隣での開催でホテルが満室で、高額な料金設定をしても宿泊が得られる際などに限定されることになる。
 
長期滞在には価格競争力を増す
ただし、ホテルの清掃との違いとして民泊は通常ホテルが実施するようなシーツの交換とベットメイクのような毎日の清掃の実施は基本的にはなく、宿泊客がチェックアウトした後の一回のみ清掃を実施する。そのため、長期滞在になるほど清掃費用を大幅に圧縮できるという強みもある。
短期滞在ではホテルに対して民泊は競争力を担保できないが、長期滞在になればなるほど清掃費用が割安となり運用費用の観点で民泊の競争力が浮上してくることになる。
このため運営側も長期滞在者への割引や最低宿泊日数の設定などで長期滞在者を各種特典により優遇している。
長期滞在者の優遇は、短期滞在傾向の強い国内旅行客よりも長期滞在傾向の強い外国人旅行客に民泊の利用者が多くなる一因ともなっており、世界最大手で国内でも最大手のAirbnbの民泊利用者のおよそ8割が外国人旅行客とも言われる。
国内旅行客にも民泊利用が多いのは沖縄や瀬戸内海などの離島で、国内客でも遠方からの旅行者が多い地域では長期滞在の傾向があるため、これら地域では国内客向けにも民泊が強くなってくる。
 
高品質・高付加価値による差別化戦略
価格以外の競争力について、高品質・高付加価値による差別化戦略がある。
安価なイメージのある民泊とは裏腹に高級志向の「バケーションレンタル」を標榜する民泊物件が存在する。
こうした民泊物件は、豪華一棟貸しのHomeAway(Expedia傘下)や国内客向けのみの高級物件を扱う一休.com(ヤフー傘下)などが強みとするリゾート別荘型に該当する。
また、訪日旅行のトレンドとして「コト消費」が人気となるなかで、地方でのグリーンツーリズムやサイクリング、郷土料理体験などイベント体験型の民泊パッケージ販売や、農作業を手伝う農泊などの地域との交流型等、多様なプランニングを提供する民泊事業者も増えてきている。
 
このように、基本的には民泊はランニングコストとりわけ清掃費用が高いため、短期滞在者向けではホテルへの競争力が保てない。他方で、長期滞在になるほど清掃費用が割安となり、民泊の価格競争力が高まり始めることがわかった。
さらに、高級リゾート志向やコト消費による高品質・高付加価値での価格以外の差別化戦略も有効であり、民泊の一つのトレンドとなりつつあることがわかった。
 
最終回となる次回連載で、6月15日に迫る住宅宿泊事業法(民泊新法)施行後の民泊マーケットとホテルへの影響について考えてみよう。(連載続く)
 
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訪日外国人客と民泊〜民泊はホテルの競合となるのか!?①〜

民泊によるホテルの稼働率への影響〜民泊はホテルの競合となるのか!?②〜

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