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【日本最大】客室数3,600超のマンモスホテルとは 東京の客室数ランキングトップ10

投稿日 : 2017.11.09

東京都

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東京都の宿泊施設数を市区町村ごとにまとめたデータをつぶさに見ていくと、客室数が多い市区町村に共通する特徴や傾向を読み取ることができる。

本稿では、市区町村ごとの宿泊施設数、客室数から見えてくる宿泊施設の特徴、観光客のニーズを紐解いていく。

 

東京都の客室数ランキングは26,990部屋で港区がトップ

表1は、東京都における市区町村別の宿泊部屋数を割り出したものだが、調査の結果、港区が26,990部屋でトップだった。2位は、中央区で20,765部屋、3位は新宿区で17,748部屋という結果だった。4位以降については、4位千代田区(16,819部屋)、5位台東区(16,037部屋)、6位豊島区(10,206部屋)、7位品川区(8,274部屋)、8位大田区(7,734部屋)、9位渋谷区(6,941部屋)、10位江東区(6,828部屋)という結果になった。

表をみると明らかなように、台東区以外は施設数と客室数がほぼ相関していることが分かる。台東区をのぞけば、客室数1位の港区が施設数でもトップ、客室数2位の中央区が施設数でも2番手につけている。逆に言えば、東京都の施設数、客室数のランキングの中で台東区だけが特徴的な構成をしているという言い方もできる。

台東区の施設数は231施設と、東京都の中でも群を抜いて多い数字だ。ところが、客室数に目を向けてみると16,037部屋と5位になってしまう。1施設あたりの客室数が少ない小規模ホテルや旅館、民宿などが多いということがこの数字から読み取ることができる。

この傾向は、温泉地や古くからの観光地に多く見られる傾向である。例えば、日本全国で一番施設数が多い自治体は長野県白馬村で584施設だが、客室数は、6,600部屋と客室数のトップ20にもランクインしていない。

出典:メトロエンジン リサーチ

 

宿泊施設、客室数ともに交通の要衝に集まる傾向にある

表1のランキングに目を戻してみると、ランキングの上位に位置する市区町村は、交通の要衝を抱えていることが分かる。1位の港区は、新幹線の停車駅であり、JR京浜東北線、JR山手線、京浜急行が乗り入れ、JR東日本の利用者数ランキングで5位にランクインしている品川駅を抱える。

また、2位の中央区は地下鉄駅別乗降人員ランキングの3位に位置する銀座駅があるほか、新幹線の発着駅の東京駅からも至近距離にある。3位の新宿区は、1日の乗員人員が約77万人を数え、日本はおろか世界でもトップの利用者数の新宿駅がある。

4位の千代田区、5位の台東区はともに、東京駅、上野駅といった新幹線の発着駅を擁している。供給が多いということはそれだけ需要が大きいわけで、宿泊施設を決める際には、移動のしやすさを重要視しているということが推察できる。

 

客室数3,679部屋を誇る品川プリンスホテルの成功の理由とは

表2は、東京都にある客室数1,000部屋を超える宿泊施設をまとめたものである。東京都には客室数1,000部屋を超えるホテルがトータルで7施設ある。ただし、2位の国立オリンピック記念 青少年総合センターは、一般客の利用も可能なものの、メインは青少年教育関係の研修施設であるので、純粋な宿泊施設としては6施設である。

表2を見ると明らかなように、このランキングの中で群を抜いて大規模なホテルは品川プリンスホテルで、その客室数は3,679部屋を数える。さらにこれだけの規模がありながら、平均稼働率は例年85%前後で推移している。一般的に客室稼働率が80%を超えると宿泊施設の予約が取りにくいとされている。

品川プリンスホテルは日本トップクラスの大規模ホテルでありながら、宿泊予約が取りづらいホテルとなっているというわけだ。この人気の理由は、品川駅から徒歩数分という抜群の好立地に加えて、品川プリンスホテルがテーマパーク一体型ホテルという面にあるのではないだろうか。

品川プリンスホテルは、宿泊施設、レストランはもちろん、水族館、映画館、ライブハウス、ライブホールなどのエンターテイメント施設、プール、ボウリング場、屋内テニス場、屋内ゴルフ場、スポーツジムなどのスポーツ施設も敷地内に完備している。さらに、ショッピング施設、コンビニエンスストア、理髪店なども備えており、ホテルの敷地内だけで生活に必要なほぼすべてを賄うことができる。

また、品川プリンスホテルは数年前から高単価な客層へマーケットチェンジをしており、これにも成功している。販売可能客室1室あたりの売り上げを示す指標「RevPAR」が右肩上がりに増えているのだ。2014年3月期決算は9,410円だったのが、2017年3月期決算には12,873円にまで上がっている。

平均販売室料も2014年3月期決算では11,076円だったのが、2017年3月期決算では14,808円を記録している。ホテルの敷地内だけで不自由することなく過ごすことができる利便性の良さ、富裕層へのマーケットチェンジ、この2つが品川プリンスホテルが成功を収めている大きな理由だろう。

同時にこれは、同業他社への大きなヒントにもなっている。訪日外国人の急増に伴い、また2020年には東京オリンピックが控えていることから現在、各地で空前のホテル建築ラッシュが起きている。

宿泊施設が増えれば、当然、生き残り競争も激しさを増していく。各ホテルともに、生き残りのために魅力的なプランやサービスを提供していくだろう。ホテルの戦略やアプローチを考える際、品川プリンスホテルの成功から学べるものが数多くあるのではないだろうか。

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