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唐津・横枕で国際ボランティアツーリズム始動:自然共生サイトから里山再生のモデルへ

投稿日 : 2025.05.15

佐賀県

地域創生

(出典:NPO法人唐津Farm&Fo)

NPO法人唐津Farm&Foodは、自然共生サイトである佐賀県唐津市相知町・横枕地域にて、2024年度より本格的なボランティアツーリズムプログラムを開始した。里山の生態系保全と国際交流を融合させた本取り組みは、「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の実現に向けた試みであり、世界各国からのボランティアと地域住民が協力しながら、持続可能な地域づくりを進めている。

横枕地域は、2023年に環境省より「自然共生サイト」に認定された、生物多様性の宝庫である。地域には田畑・ため池・湧水・社叢林などが複合的に存在し、希少種であるブチサンショウウオをはじめとする多様な生態系が共存している。こうした自然環境の保全活動が地域ぐるみで継続されており、生物多様性の回復を目指す世界目標「30by30」への貢献が期待されている。「30by30」とは、2030年までに世界の陸と海の30%以上を保全・保護することを目指す国際的な取り組みである。

(出典:NPO法人唐津Farm&Fo)

本プログラムでは、フランスからのボランティア2名を初めて受け入れ、ニホンミツバチの養蜂を支援する「唐津ミツバチプロジェクト」、里山の水路や畦道の整備、畑作業、放牧に向けた草地管理などの実地作業を実施した。さらに、同じく自然共生サイトである伊万里市「駒鳴の里山」への視察や、地域行事「お籠り」への参加、地元住民とのバーベキュー交流などを通じ、文化的なつながりも深められた。言語や国籍を超えた協働の体験は、参加者同士の強い絆を育み、活動の輪を一層広げている。

(出典:NPO法人唐津Farm&Fo)

「ネイチャーポジティブ」とは、単に環境破壊を抑えるのではなく、自然の豊かさを回復・再生していくことを目指す概念である。唐津Farm&Foodは、農業・自然保全・国際交流・環境教育を一体化させることで、人と自然、そして人と人との持続可能な関係を築いている。

本取り組みで「世界とつながる持続可能な里山」の実現に向け、横枕から新たな一歩が踏み出された。今後は、ボランティア受け入れの国際的な拡充や、農業、文化体験など多様な分野との連携によって、横枕を「ボランティアツーリズム×ネイチャーポジティブ」のモデル地域として全国に発信していく構えである。

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