東京都が「新型コロナウイルス感染症対策条例」の改正案をとりまとめた。改正案では、感染者の利用が発覚した施設は必要に応じて公表することなどが盛り込まれている。
東京都の「新型コロナウイルス感染対策条例」は、今年の4月7日、コロナの感染拡大が都民の生活および経済に与える影響を最小にとどめるべく制定された。
9月に入り、東京都はコロナの感染再拡大の可能性を見据え、より実行性を持つ対策を打つべく、都政、都民、事業者のなすべきことを具体化する改正案を検討している。
改正案において、都民および事業者が果たすべき責務として、知事や特別区長、保健所設置市長の要請に応じて、検査や外出自粛、まん延防止へ協力することを挙げている。なお、これらの事項は現段階ではあくまで「努力義務」とされている。
いっぽう、都の責務事項では検査・医療体制の整備とともに「情報の開示」を挙げており、感染者の利用が認められた施設名の公表については以下のように触れられている。
『集客施設、イベント等において、患者等が利用・参加したことが判明した場合、患者等と接した人が把握できておらず、まん延防止のため特に必要があると認めるときは、施設の名称等まん延の防止に必要な情報を公表することができる。』
政府主導の観光振興策「GoToトラベルキャンペーン」において、観光庁は感染者が発生した施設を公表しない方針を示してる。しかし、これまでクラスターが発生した宿がニュースほか機関紙で報道されているように、地方自治体の決定に応じて公表されるケースはあるようだ。
東京都の感染状況は減少傾向にあり、来月からはいよいよ「GoTo」の対象に東京が含むことが予定されている。
地方と東京の大移動が起これば、必然的に感染のリスクは高まる。3密回避などの予防対策を徹底することはもちろんだが、都から検査や施設名公表の決定を受けたとき、経営陣がどうふるまうかが、アフターコロナの宿泊業界において重要になってくるだろう。