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東京都で受動喫煙防止条例が成立ー宿泊・飲食施設の喫煙室設置に補助金も

投稿日 : 2018.06.29

東京都

ホテル関連ニュース

受動喫煙防止条例を都議会が可決し成立させた。東京五輪に向けて都は国が進める法整備が骨抜きを指摘される中で、より厳しい内容の規制を実施する。対象には宿泊施設も含まれており、整備に向けて喫煙室補助等の補助金も実施される予定だ。

国より厳しい規制内容ー人をベースに面積要件を排除
東京都によると、成立した東京都受動喫煙防止条例の目的は、屋内での受動喫煙による健康影響を未然に防止し、誰もが快適に過ごせる街を実現するため、「人」に着目した都独自の新しいルール。特に、健康影響を受けやすい子供をはじめ、受動喫煙を防ぎにくい立場である従業員を受動喫煙から守ることが柱となっている。
飲食店は従業員を使用していない場合は禁煙・喫煙を選択することができるとされているが、国の法改正案においては客席面積100平方メートル以下で、個人又は中小企業(資本金5千万円以下)は対象外となっており、大半の飲食店が対象外となり実質的な骨抜きが指摘されていることに比べると、従業員を使用していない飲食店は店主のみや夫婦で運営の場合などに限られ対象が限定的であることから、下記の通り東京都の同条例はより厳しい規制をかすものとなっていると言える。

出典:東京都 

宿泊施設への規制ー喫煙室の整備も客室全面禁煙の必要なし
同条例では宿泊施設、老人福祉施設、運動施設、事務所、船舶、鉄道、従業員がいる飲食店などが原則屋内禁煙の対象となっている。原則屋内禁煙とは、禁煙又は喫煙専門室・指定たばこ専用喫煙室設置を指している。
宿泊施設は原則屋内禁煙の対象となり、上記の定義での禁煙ないし分煙が求められるが、宿泊施設の客室は家やマンションの部屋と同様に喫煙禁止場所とはならない。
たばこ規制枠組条約のガイドラインやWHO(世界保健機関)は、喫煙専用室の設置を推奨しておらず、屋内は全面禁煙とすべきとしており、喫煙者が濃厚な残留タバコ煙を身につけて他者に苦痛を及ぼす(三次喫煙)問題が指摘される中では、世界的水準からは依然として劣るものとなるが、それでも妥協点として一歩前進した形となる。
また、近年増加している加熱式タバコは規制対象としつつ、健康影響が明らかになるまでの間、行政処分や罰則は適用しないという灰色決着となった。

都の喫煙室整備の補助金は今後規定
都は同条例の実施にあたり、公衆喫煙所の整備又は改修のための補助金を区市町村へ実施することとしており、宿泊・飲食施設の喫煙室整備等への補助も事業者向けに実施する予定が盛り込まれている。

都は昨年度にも「外国人旅行者の受入れに向けた宿泊・飲食施設の分煙環境整備補助金」(補助対象経費の5分の4以内で、1施設につき300万円を限度)を実施しているが今年度以降は同条例を受けて、より大規模で広範囲な内容となる見込み。

施行スケジュールは以下の通りとなっており、都議会での可決を踏まえて、条例が段階的に実施されていくこととなる。

出典:東京都 

都が同条例のポイントとしたのは、原則屋内禁煙として禁煙ないし分煙の徹底をすることにより、これまで保護する対象から見過ごされ自らの意思で避けることが難しかった従業員を受動喫煙から守ることである。
すでに喫煙室の設置や客室全面禁煙などより積極的な対策を自主的に打ち出している宿泊施設も多いが、喫煙室などの整備が必要となる施設は、今後定められる補助金の内容や条件を注視しながら、対策を進めていくことになる。

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