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ホテル稼働率97%も記録する大阪で誕生している新たなタイプの宿泊施設とは

投稿日 : 2017.11.26

大阪府

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日本屈指の人口規模を誇る大阪市は、同時に観光都市としての側面を持つ。外国人観光客にも人気で、宿泊旅行統計調査によるとこのところの大阪の客室稼働率は90%を超えるケースも目立つ。

そんな宿泊施設不足に悩む大阪市では、新たなタイプの宿泊施設がオープンしている。本稿では、大阪市の宿泊施設不足の背景とともに、新たな宿泊施設の狙いをレポートしていく。

 

外国人観光客は京都よりも大阪が好き!?

おりからの日本旅行ブーム、さらに円安、LCCの就航便数の増加、豪華クルーズ船の寄港の増加など、様々な要素が折り重なり、現在日本は空前の外国人観光客ラッシュに沸いている。

外国人観光客がもたらす需要や消費を「インバウンド需要」と呼ぶが、インバウンド需要は主要観光地はもちろん、今や地方都市にまで大きな影響を与えており、官民問わずインバウンド需要を取り込もうと様々な施策が考えられている。日本の中でもインバウンド需要を上手く取り込めた都市と、機を逸してしまった感のある都市とに分かれだしているのが昨今だ。

インバウンド需要を取り込むことに成功した都市のひとつに、大阪市がある。三菱総合研究所の調査によると、2016年に大阪市の主要観光エリアを訪れた外国人観光客は3,574万人だった。

対して、関西はおろか日本全体でも屈指の観光地である京都の主要観光地を訪れた外国人観光客は2,004万人だった。従来、日本観光の代名詞のような存在だった京都より、実際に外国人観光客がより魅力を感じているのは大阪だったというわけだ。

出典:メトロエンジンリサーチ

 

外国人観光客の増加で、大阪の客室稼働率が高止まり

こうした外国人観光客数の増加を受けて大阪府、特に大阪市内の宿泊施設の客室稼働率が高止まりしている。大阪府全体の2016年の延べ外国人宿泊者数は941万人、客室稼働率は84.1%を記録した。

ちなみに東京都の客室稼働率は79.4%で、大阪府内の客室稼働率は3年連続で全国都道府県のトップだった。大阪府全体を見ても宿泊予約が取りにくい状況が続いているが、中でも大阪市はこの傾向がより強まる。

観光庁の宿泊旅行統計調査によると、平成29年8月(第2次速報)で大阪府のリゾートホテルでは97.8%という稼働率(リゾートホテル)を記録した。大阪は宿泊需要に対して、供給能力がまったく追いついていないというのが実状なのだ。ただ、大阪市に宿泊需要の受け皿が従来、足りなかったのかと言われればそんなことはない。

表1は、大阪府内の市区町村ごとの客室数ランキングだが、上位5位は大阪市内の行政区が独占、トップ10に広げてみても、8つまでを大阪市内の行政区が占めている。さらに、表2に目を向けてもらいたい。

表2は、全国の市区町村の客室数ランキングだが、トップ10のうち大阪市の行政区が2つランクインしている。また、1平方kmあたりの客室数は大阪市中央区が約2,507室と全国でもダントツのトップで、トップ10内に大阪市北区、大阪市浪速区もランクインしている(表3)。

 

出典:メトロエンジンリサーチ

このように、大阪市はもともと日本でも屈指の宿泊供給能力がある都市なのだ。ところが、急激な観光客数増加によって、その供給能力が限界を来しているというのが実態である。大阪市は、東京オリンピックが行われる2020年までに必要な新たな宿泊施設は、14,000室に上ると試算している。

出典:メトロエンジンリサーチ

 

新たな形態の宿泊施設が続々と誕生

大阪市は、宿泊施設不足を補うために「さらなる民間投資」、「民泊の推進」、「未利用地を利用したホテル誘致」を施策の大きな柱としている。こうした行政の動きを受け、大阪市内には新たなタイプの宿泊施設が続々と誕生している。

今年の11月に、民泊予約サイトを運営する「株式会社百戦錬磨」と関西の大手私鉄「南海鉄道」は、協働で大阪市浪速区の鉄道高架下スペースを活用した宿泊施設の建設(2018年2月オープン)を発表した。

南海鉄道はこれまで高架下に商業施設を置くなど、高架下スペースの有効活用に取り組んできたが、宿泊施設としての利用ははじめての試みだという。この取り組みもまた、ホテル開発用地が不足している大阪市において、注目に値する取り組みである。

このように、大阪市では既成概念にとらわれない、新たなタイプの宿泊施設の建設、オープンが相次いでいる。こうした実験的取り組みがうまくいけば、大阪市のみならず全国的に波及する影響は大きいものになるだろう。今後も定点観測していきたい。

 

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