株式会社スーパーホテルは、長野県松本地域振興局と連携し、2025年7月1日に「長野県産材・松本市材を利用し訴求するための取り組み」を開始した。本取り組みは、松本市への行政ヒアリングを通じて明らかになった赤松材や唐松材の未利用課題に対応するものである。その第一弾として、長野県産唐松材を使用した折り畳み木製セーフティーコーン「KOLMIO(コルミオ)」を、2025年11月7日より「スーパーホテル松本駅前」と「スーパーホテル松本・お城口」に設置した。地域材の有効活用と循環型モデルの確立、さらには地域活性化を目的としている。
(出典:株式会社スーパーホテル)
スーパーホテルは、「地域を元気に」をテーマに地域と連携した取り組みを進めており、観光資源を活用する宿泊業として地域課題の解決に取り組む姿勢を示している。さらに、客室や設備、サービスの面でも環境負荷の低減と持続可能な社会の実現を目指すサステナブルホテルの運営を行っている。松本市へのヒアリングでは、赤松材が松くい虫被害によって変色し商品化が難しいことや、唐松材が収穫期を迎えている一方で十分に利用されていないことが課題として挙げられた。これらの地域材を有効に活用するため、松本地域振興局と協力し、唐松材を使った木製セーフティーコーンの導入が決定した。
松本市の山林資源課題として、赤松材と唐松材はいずれも木の繊維が曲がっているため乾燥過程でねじれやすく、加工に手間とコストがかかることが指摘されている。そのため、「木はあるのに使われていない」状況が続き、森の荒廃や林業の衰退にもつながっている。今回の取り組みは、こうした課題を「使うことで守る」方向へ転換する第一歩として位置づけられている。
(出典:株式会社スーパーホテル)
KOLMIOは、長野県東筑摩郡朝日村に拠点を置く家具・木工メーカーのレッドハウスファニチャーが製造を担っている。唐松材を使用した木製セーフティーコーンであり、2024年の「JAPAN WOOD DESIGN AWARD」で林野庁長官賞を受賞した。プラスチック製コーンの代替として脱プラスチック化を促進し、景観との調和や地域林業の活性化、持続可能な社会の実現にも貢献している。
スーパーホテルは、「Natural, Organic, Smart」をコンセプトに国内176店舗、海外1店舗を運営している。環境省が認定する「エコ・ファースト制度」において、ホテル業界で唯一の認定を受けており、環境保全や地域活性化、次世代支援などSDGsの実践に積極的に取り組んでいる。今回の松本市での取り組みも、地域課題の解決とサステナブルな社会づくりに向けた官民連携の新たなモデルとして注目されている。