神奈川県箱根で旅館5店舗および飲食店3店舗を運営する株式会社金乃竹は、宿泊施設「金乃竹 塔ノ澤」と「Hotel 坐樂閑」において2024年9月から試験導入を行っていた『Skip制度』を、2024年12月より正式に導入した。『Skip制度』とは、連泊中の宿泊者が客室清掃を放棄する選択が可能となる制度であり、制度を利用した宿泊者には館内施設やグループ飲食店で使用可能な割引チケットを提供する仕組みである。
(出典:株式会社金乃竹)
この取り組みは、チケットによる追加サービスの体験を通じた顧客満足度の向上、清掃放棄により業務効率化を実現することで人手不足の解消、清楚時に発生する電力や廃棄物の削減を通じて地球環境保全に貢献する、「宿泊者」・「企業」・「環境」という三者にとってメリットのある取り組みであり、持続可能な社会の実現を目指すものである。
試験導入に至った経緯として、「金乃竹 塔ノ澤」は”サービス・空間・環境すべてに線を引かないノーラインリゾート”をコンセプトとし、箱根の自然を大切にすることが持続可能な施設の実現に繋がると考え、環境負荷を軽減するための施策を模索してきた。その結果、近年のインバウンド客増加や連泊需要の高まりを受け、滞在中の客室清掃を削減することで、環境保全だけでなく業務効率化や人手不足問題の解決に貢献できるという結論に至った。
試験期間中の結果として、9月から11月の期間における連泊数598件のうち、227件の利用者が清掃を希望せず、約38%が『Skip制度』を利用した。制度を利用した宿泊者からは、SDGsへの取り組みを評価する声が寄せられ、好意的に受け入れられた。また、清掃スタッフの労働時間が25%削減され、細部の清掃や他業務への対応が可能となり、業務効率が向上した。
(出典:株式会社金乃竹)
具体的な制度内容として、客室清掃の内容に応じた割引チケットが提供される。完全清掃なしの場合には2,000円分、タオル交換とごみ捨てのみの場合には1,000円分、さらに客室冷蔵庫補充を含む場合には500円分のチケットが提供される。このチケットは売店商品や特別注文料理、併設Spaの利用料金、グループ飲食店での飲食費などに使用可能である。
「金乃竹リゾート」では、この『Skip制度』の成果を踏まえ、今後他の施設にも導入を拡大し、より多くの顧客に利用してもらうことで環境保全への貢献をさらに推進していく方針である。また、同グループでは竹素材を活用したアメニティの導入や食材ロス削減を目的とした調理法の工夫など、SDGsへの取り組みを積極的に進めており、持続可能な社会の実現を目指している。