全国約4,600以上の観光施設に特化した人材サービスを展開する株式会社ダイブが登録支援機関としてサポートするミャンマー出身の特定技能人材7名が、カトープレジャーグループ(KPG)の運営する「箱根・翠松園」「ふふ 熱海」「ふふ 河口湖」の3施設に採用された。これまでに27名が内定を受けており、さらに13名が入国を待つ状況で、採用総数は40名に上る。今回の採用を通じ、株式会社ダイブは特定技能資格を持つ外国人人材の働きぶりや宿泊業界における受け入れ状況について、詳細なインタビューを行った。
(出典:株式会社ダイブ)
箱根・翠松園で働くリン テット ミャットさん(20歳)は、幼少期から日本文化に親しむ機会があり、高校生の頃に日本語の勉強を始めたことが来日のきっかけとなった。来日前は、日本の生活やマナー、特に電車の利用方法について不安を感じていたが、現在では和食のデザートや漬物の準備、土瓶蒸しの提供といった幅広い業務を担当している。将来は特定技能2号の資格を取得し、料理長として活躍することを目指しているという。料理長の森田氏は、ミャンマーでは「仕事中に声を出さない」文化が一般的であることを知り、当初はその違いに戸惑う場面もあったが、リンさんが日本の職場スタイルに順応し、積極的に声掛けを行うことでスムーズに業務が進むようになったと述べている。リンさんが働く「箱根・翠松園」は、四季折々の自然に囲まれた箱根の地に佇む高級旅館である。かつて三井家の別荘として利用され、現在も国登録有形文化財に指定される「翠松園」を敷地内に擁し、その静かで風雅な佇まいが訪れる宿泊客に特別な時間を提供している。
(出典:株式会社ダイブ)
ふふ 熱海ではスー ミャッ ヌエーさん(23歳)とキン ヤタナ トウンさん(22歳)が調理場とホール業務を交代で担当している。スーさんは日本を自由で夢を持てる環境と捉え、家族を支えるために日本で働くことを決意した。現在は漢字の読み書きや調理技術の習得に励んでおり、キャリアアップを目指している。キンさんは日本語や接客マナーを学びながら、将来はマネージャーとして働くことを目標としているという。支配人の鈴木氏は、2人の明るく前向きな姿勢が職場の雰囲気を向上させていると評価しており、特にホテル業務の厳しさを受け入れながらも意欲を保ち続ける姿勢を称賛している。また、KPG LUXURY HOTELSのトレーナーである山川氏によると、入社後の1週間は、当社のハウスルールや日本での生活、日本のビジネスマナーに慣れてもらうための研修を実施し、言葉の発声や立ち姿勢に関する研修も行っているという。また、仕事に慣れてきたスタッフに「仕事中どんなことが大変だったか」をヒアリングしたところ、「物の名前が多くてわからず意思疎通が難しかった」という声があったため、そのような内容も研修に取り入れるようにしたと語っている。
(出典:株式会社ダイブ)
ふふ 河口湖ではスラン イェ ナインさん(22歳)、ユ ヌェー アウンさん(23歳)、トゥー ザー リンさん(25歳)、ティン ティン ミャッさん(23歳)の4名が働いている。スランさんは日本の技術力や外国人が働きやすい環境に魅力を感じて来日し、現在は将来のキャリア形成のために日本での経験を積むことを目指している。ユさんは母国の内戦から抜け出し、安全な環境で家族に仕送りをするために日本で働くことを選んだ。トゥーさんとティンさんはそれぞれレストランの開業や特定技能2号の取得を目指している。副料理長の玉川氏は、言語や文化の違いから生じる不安を乗り越え、スタッフ間での円滑なコミュニケーションを実現している点を評価している。また、外国人スタッフの明るい性格が職場の雰囲気を良い方向に変え、従業員同士の団結力を高めていると述べている。彼らが働く「ふふ 河口湖」は山梨県で唯一ミシュランキーを受賞しており、悠久泰然に佇む美しい富士山を目の前に、河口湖の大自然に囲まれた森のリゾートである。
宿泊業界において特定技能資格を持つ外国人人材の受け入れは少子高齢化による人手不足の解決に向けた重要な取り組みである。KPGは多様性を重視した人材育成を進め、外国人スタッフ専属トレーナーによる研修やサポート体制の充実を図っている。具体的には、日本語やマナーの指導に加え、実務で感じた課題を解決するための工夫を取り入れている。ダイブも引き続き特定技能外国人材の採用促進を通じて、観光業界全体の発展に貢献する方針である。