全国約4,600以上の観光施設に特化した人材サービスを展開する株式会社ダイブと、その子会社である株式会社宿屋塾は、宿泊業界における50代・60代以上の人材採用について共同調査を実施した。人手不足が深刻化する中、改正高年齢者雇用安定法の施行を目前に控え、シニア層の雇用拡大が注目されている。本調査は、そうした変化の中で宿泊業界の現場がシニア層をどのように受け入れているかを明らかにするものである。
(出典:株式会社ダイブ)
調査結果によれば、約6割の施設がすでに50代以上の人材を採用しており、その背景には応募者のスキルや意欲を評価する傾向が見られる。採用理由としては「スキルや意欲の評価」「即戦力としての経験」などが多く、年齢にかかわらず能力を重視する動きが進んでいる。また、若手人材の確保が難しい現状を受け、安定感のある働き手としてシニア層を選択する施設も少なくない。
(出典:株式会社ダイブ)
一方で、新たにシニア層の採用を検討している施設は全体の15%未満にとどまり、一定数の施設は「健康や体力面」「若手人材の優先」などを理由に慎重な姿勢を示している。また、「どの業務で活躍してもらえるか分からない」といった懸念もあり、シニア層の採用には、採用側が情報提供をすることや事例の共有を行うことが重要になってくる。
(出典:株式会社ダイブ)
採用されたシニア層の業務内容としては、調理やフロント、清掃などが中心で、施設運営全般にわたり幅広く活躍している実態も明らかとなった。特に大型旅館や地域密着型ホテルでは、正社員として雇用される例も見られ、接客や運営においてシニア層の長年の経験が強みとして評価されている。
今後の採用・定着に向けた施策としては、「労働環境の改善」「雇用の多様化」「従業員満足度の向上」が重要視されている。フレックスタイムの導入や定休日の設置、福利厚生の充実など、具体的な取り組みも始まっており、業界全体で持続可能な人材確保に向けた動きが広がっている。