（出典：株式会社シニアジョブ）
シニア転職支援を行う株式会社シニアジョブは、同社が提供するシニア専門求人メディア「シニアジョブ」に掲載された観光関連職種の求人傾向調査の結果を発表した。調査対象となった職種は、客室係、フロント、旅行手配員、カウンタースタッフ、施設長・支配人であり、掲載求人数は356件であった。その結果、客室係では経験不問の求人が97.5%を占め、70歳以上を歓迎する求人も45%に達するなど、未経験で年配の求職者が採用されやすい職種があることが明らかとなった。
調査は2025年3月3日に実施され、全国のシニア向け観光関連職種の求人を対象とした。調査の結果、観光業に関連する求人はリゾート地での募集が多く、客室係では41.3%、フロントでは35.7%がリゾート地に立地していた。また、寮や社宅が提供される求人も多く、客室係では45%、フロントでは29.8%に及んでいる。これらの結果から、観光業ではシニアの単身赴任を前提とした求人が多いことがうかがえる。
歓迎される年齢層については、60歳以上を歓迎する求人は50〜70%程度とシニア向け求人全体と同程度であったが、70歳以上を歓迎する割合は職種によってばらつきが見られた。例えば、客室係では70歳以上歓迎の求人が45%を占める一方で、旅行手配員では該当する求人がなかった。雇用形態については、パート・アルバイトの求人が多く、客室係では55%、フロントでは53%を占めている。一方で、施設長・支配人やカウンタースタッフなど、一部の職種では正社員求人の割合も高く、施設長・支配人では48.9%、カウンタースタッフでは45.6%となった。
地域別の求人傾向として、関西エリアの観光関連職種の求人が少ないことが確認された。全体の求人分布と比較すると、観光関連職種において関東や関西の都市圏の求人数が減り、地方の求人数が多い傾向があった。例えば、求人全体では北海道・東北が7.2%、関東が36.7%、関西が15.4%であるのに対し、客室係に限定すると北海道・東北が23.8%、関東が12.5%、関西が10%と、特に関東の割合が大きく減少している。シニアジョブはこの傾向について、大阪・関西万博の影響により、若年層の求職者が集まりやすくなっているため、シニア向けの求人が発生しにくい状況が生じている可能性があると分析している。
観光関連職種の求人における勤務条件をみると、「完全週休2日制」や「年間休日120日以上」の求人は少なく、休日が少なめの傾向にある。ただし、旅行手配員の職種では「完全週休2日制」が100%、「年間休日120日以上」が25%と例外的に多い結果となった。一方、残業については、「残業なし・月平均20時間以内」の求人が旅行手配員では100%、その他の職種でも50%以上と、比較的残業時間は抑えられている。
未経験のシニア求職者にとって働きやすい職種として、客室係やフロントが挙げられる。客室係では「経験・資格不問」の求人が97.5%、フロントでは79.8%と、未経験でも応募しやすい。また、「70歳以上歓迎」の割合は客室係で45%、フロントで32.7%となっており、シニアでも採用されやすい環境が整っている。さらに、「残業なし・月平均20時間以内」の求人が客室係では80%、フロントでは78%と、無理なく働ける点も特徴である。
シニアジョブの代表取締役である中島康恵氏は、今回の調査結果について、シニア向け求人の多様性が広がっていることを再確認できたと述べた。特にリゾート地における寮・社宅付きの求人が多く、経験・資格不問の求人も多いため、未経験のシニアがリゾート地で住み込みで働く選択肢も十分可能であることが示された。また、シニアの働き方に対する固定観念を持たず、多様な選択肢を考慮することが重要であると強調した。企業側にも、シニアの単身赴任が不可能だという先入観を持たずに、柔軟な採用を検討するよう呼びかけた。
（出典：株式会社シニアジョブ）
シニア専門求人メディア「シニアジョブ」は、50歳以上の求職者に特化した求人サイトとして2022年8月にオープンした。求人掲載企業は、50歳以上の採用を前提としており、平均年齢や年代別の勤務人数など、シニアが安心して応募できる情報を提供している。企業にとっても、初期費用無料で求人を掲載できる成果報酬型のシステムを採用しており、採用決定まで費用が発生しない仕組みとなっている。
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