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能登半島地震が北陸三県の観光人流に及ぼした影響と回復の兆し:石川県では休日の観光来訪者数が21.6%減少

投稿日 : 2024.03.07

富山県

石川県

福井県

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令和6年に発生した能登半島地震は、北陸三県及び周辺地域の日本人観光客の流れに大きな影響を与えた。公益財団法人九州経済調査協会は、観光人流モニタリングサービス「おでかけウォッチャー」にて公開されている株式会社ブログウォッチャーの「デジタル観光統計(国内版)」を用いた分析を通じ、地震後の観光人流の変化を詳しく検証しその結果を公表した。

デジタル観光統計(国内版)は、スマートフォンのGPS位置情報を基にした観光人流データで、全国の月間3,000万人の行動ログデータを分析に活用している。今回の検証では特に、2024年1月1日以降の北陸三県および周辺地域における日本人観光来訪者数の変化に焦点を当て、地震の影響を明らかにされた。▲全国・北陸3県の平日・休日別観光来訪者数

2024年1月の観光来訪者数は、富山県で約34.3万人、石川県で約49.4万人、福井県で約39.9万人と集計された。これは前年比で富山県が約2.8%減少し、石川県が0.1%減少、一方で福井県は3.9%の増加を見せた。これらの数字は、地震等の災害後に被災地では観光目的の訪問が減少する一般的な傾向を示している。特に休日の観光来訪者数の大幅な減少は、地震の影響が深刻であったことを示している。

分析では、休日に富山県と石川県で前年比マイナスが記録され、特に石川県では休日の観光来訪者数が21.6%減少していることが明らかになった。一方で、平日は全国平均を上回る増加率を示しており、災害関連の訪問が増加していることが推察される。

▲市区町村別観光来訪者数

▲市区町村別観光来訪者数前年比(1~2月休日)

市区町村別の観光来訪者数に目を向けると、特に金沢市や七尾市など、能登地域の主要観光地で減少が顕著であった。金沢市では、特に休日の観光来訪者数が前年比32.1%減となり、兼六園の来園者数も38.7%減少している。しかし、2月にはこれらの地域での観光来訪者数がわずかながら回復傾向を見せている。

▲発地別観光来訪者数(金沢市)

さらに、発地別の観光来訪者数を分析すると、南関東や近畿からの観光来訪者数が特に減少していることが確認された。特に金沢市は、南関東からの観光来訪者が前年比で大きく減少している。これらのデータから、災害後の観光人流には地震の影響が直接的に現れていることがわかる。

この分析は能登半島地震が北陸三県及び周辺地域の観光人流に与えた影響が明らかとなっている。地震の影響は広範に及び、特に休日の観光来訪者数の大幅な減少を引き起こしたといえるだろう。しかし、2月のデータからは回復の兆しが見え始めており、今後の観光復興に向けた取り組みが期待される。北陸新幹線の開業や地域振興策など、北陸観光を盛り上げるための施策が重要となるだろう。

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