解体予定の「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」のカプセルを取り外し、美術館への寄贈やホテルに再利用するプロジェクトが始動した。
「中銀カプセルタワービル」は建築家・黒川紀章が設計し、1972年に竣工したカプセル型集合住宅。当時の若手建築家が主導したメタボリズム建築のひとつとして日本を代表する存在である。
部屋(カプセル)ごとに交換することは技術的には可能な設計だが、実際には困難であるため一度も交換されたことはない。
建物の老朽化と外壁内側の壁・天井・床全面にふき付けアスベスト使用を理由に、建て替えが検討されることになった。今年3月、管理組合で敷地売却が決議。現在は住人の退去と区分所有のカプセル売却が進んでいる。
2014年に保存を求めるオーナーと住人を中心に「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」が結成された。
2018年からは、中銀カプセルタワービルの一室を一か月から賃貸できる「マンスリーカプセル」を運営している。現在、無印良品がコーディネイトを担当した「無印カプセル」1室と、48年前のオリジナルの棚やオーディオなどの面影を残した「オリジナルカプセル」6室の合計7室を展開中だ。
カプセルタワー解体時にはカプセルを取り外し、株式会社黒川紀章建築都市設計事務所と協力して美術館や博物館に寄贈する。また、カプセルを宿泊施設に再利用し、全国で「泊まれるカプセル」を展開する計画があるという。
現在、美術館などの施設に寄贈するカプセルの改修費(輸送、アスベスト除去、内装修復費等)の一部に充当するため、クラウドファンディングがMOTION GALLERYにて行われている(8月31日まで)。
中銀カプセルタワービル 保存・再生プロジェクト:https://motion-gallery.net/projects/capsulereproduction