(出典:株式会社コスモスホテルマネジメント)
医療的ケアが必要な子どもたちとその家族に、より安心して旅行を楽しんでもらう環境づくりを目指し、アパートメントホテル「MIMARU」を運営する株式会社コスモスホテルマネジメントは、2025年5月に京都市内で試泊イベントと意見交換会を実施した。共催団体は、医療的ケア児の外出支援を行う一般社団法人Try Angleと、放課後等デイサービス等を展開するNPO法人こども未来である。
(出典:株式会社コスモスホテルマネジメント)
今回の試泊は、修学旅行を控える医療的ケア児を含む2家族を対象に行われ、バリアフリー対応の客室で宿泊を体験した。チェックイン前には「コミュニケーションシート」を活用し、要望に応じた備品準備や室内レイアウトの調整がなされた。宿泊後は支援団体やホテルスタッフを交えた意見交換会を開催した。家族からは、「設備だけでなく、受け入れの姿勢や事前情報が安心材料になる」といった声があがった一方、「周囲に迷惑をかけないか心配で外出をためらう」といった率直な声が共有された。
背景には、医療技術の進歩により在宅で生活する医療的ケア児の増加がある。厚生労働省によれば、医療的ケア児は2005年の9,987人から2021年には20,180人と倍増した。一方で、外出や旅行のハードルは依然高く、2020年の調査では96.8%が「家族一緒に旅行したい」と回答する一方で、「問題なく行えている」との回答は17.2%にとどまっている。機器の持ち運び、外出先の設備、周囲への配慮、情報の不足など、旅行にはさまざまな壁が立ちはだかる。
こうした課題の可視化と当事者の声を受け止める姿勢は、観光業における共生社会の実現に不可欠である。MIMARUでは今後も、障がいや医療的ケアをもつ子どもたちの旅行機会を広げるための取り組みを続けていく意向だ。