25日に幕を閉じた2018平昌オリンピック。韓国政府は大会成功に向け、開催前から多角的に注力してきたが、宿泊施設の監督もその一例だ。通常の繁忙期の3倍以上もの宿泊代金を求めるなど、国内外から集まる応援客を目当てに、不当に宿泊代金をつり上げていたホテルの取り締まりを強化し、宿泊代金の正常化に尽力したと、「USA TODAY」が伝えている。
宿泊代金は一時、通常繁忙期の3倍以上に高騰
韓国の聯合ニュースによると、昨年12月頃の一泊あたりの平均的な宿泊代金は、通常の繁忙期の3倍以上となる460米ドル(約4万9千円)。こうした状況を受け、韓国政府は昨年12月26日から今年1月31日の期間、宿泊施設の取り締まり強化を実施。併せて、衛生面や建築上の規定基準を満たさない施設も処罰の対象とした。
さらに、利用客からの苦情を受け付ける複数言語対応のコールセンターを開設。開催前には盛り返しを見せたものの、売れ行きが鈍かったオリンピックの観戦チケット販売を促進したい政府の施策の1つだった。主催者発表では、12月末の時点で全体の6割以上に当たる107万チケットを販売。10月にはわずか32%の完売率だったが、11月に韓国国内で聖火リレーが行われたことで、売れ行きを大きく伸ばしたという。
地元自治体や産業団体も取り締まりを強化
韓国政府とは別に、平昌のある江原道の行政区画政府や地元ホテルの団体も、ホテル運営の健全化へのプレッシャーを強めた。韓国の英字新聞『Korea JoongAng Daily』によると、韓国宿泊施設産業組合(Korea Accommodations Industry Association)江原道支部は宿泊代金の高騰抑制を促すと共に、予約済みの人々に対しては差額を返済するキャンペーンを実施。さらに、代金を過剰請求したり、個別予約を拒否したりする宿泊施設を取り締まった。
こうした取り締まりの強化や予約の鈍さが影響し、12月下旬には宿泊代金の割引を始めたホテルも。Booking.comのサイト上では、平昌や江原道の宿泊施設で120米ドル(約1万2,800円)くらいから予約ができるようになったという。
Twitterなどでも“ぼったくり”に批判
一方で、宿泊代金の高騰や予約困難な状況への批判はソーシャルメディアでも広がりをみせた。「ぼったくりオリンピック」などと揶揄する声が出ただけでなく、自宅で観戦したほうがいいと多くの人々が発言。あるTwitterユーザーは「観戦に行くとしても、平昌には泊まらないで。試合が終わったら、家に帰ろう。最終電車は午前1時」と投稿している。
このような事例は今回だけでない、以前ロシアで開かれた「ワールドカップ」では、通常の50倍もの値上がりがされたという。2020年にオリンピックを控える日本でも当然値上がりはするであろう。宿泊者の許容範囲内でどこまで機会損失を減らすことができるのか、各ホテルのレベニューマネジメントに注目したい。