静岡県浜松市の浜名湖舘山寺(かんざんじ)温泉にある「ホテル九重」が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で10月31日をもって営業終了することがわかった。
遠州鉄道が運営する同ホテルは、レジャー部門で中核的な存在だった。1987年の開業以来、浜名湖を一望できる高級旅館として人気を集めた。団体客を中心に全国から集客し、1989年には最大400人収容の大宴会場を増設。バブル期にはバスが連ねて押しかけ、年間宿泊客数が10万人を超えることもあったという。
しかしバブル崩壊後からは旅行の主体は個人や家族連れに移行した。同ホテルも露天風呂や個人向けの部屋を増やすなどリニューアルして対応したが、そこにコロナ禍が直撃。
2020年4月から約1年半にわたって休館していた。旅行需要が戻る見通しが立たないことに加え、建物が老朽化していることもあり、運営元の遠州鉄道の取締役会で営業終了と建物の取り壊しが決まった。
建物は11月から約2年をかけて解体する。跡地については売却はしないが今後の利用は未定となっている。
コロナ禍前のホテルの従業員約150人はグループ内で配置転換が済んでいるという。舘山寺温泉観光協会によると、舘山寺温泉街における大型宿泊施設の閉鎖は平成に入った1989年以降、初めてとのこと。浜名湖エリアの観光・宿泊業を先導してきた地域のシンボル的存在が34年の歴史に幕を下ろす。
浜名湖かんざんじ温泉「ホテル九重」:営業終了のお知らせ