東京都内の宿泊施設の利用客を対象とする宿泊税について、都税制調査会(都税調)が19日、「税負担水準を引き上げる方向が適当」とする報告案をまとめたことがわかった。2002年の導入以来、外資系高級ホテルなどの高額な宿泊が増えているとの認識のもと、宿泊料金に応じた新たな税率区分の検討が求められている。また、現状では課税の対象とされていない民泊についても、「公平性・応益課税の観点から、対象とすることが考えられる」との意見も示されている。
2002年に東京都が全国で初めて導入した宿泊税は、法定外目的税として位置づけられ、その収入は「国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てる」とされている。課税金額は、1人1泊の宿泊料金が「1万円以上1万5千円未満」の場合は100円、そして「1万5千円以上」の場合は200円が徴収される。一方、「1万円未満」の宿泊料金に関しては課税対象外とされている。これは、訪れた旅行者が自治体のサービスを受けるための「応益負担」の考え方に基づくものである。
しかしながら、時代の変化と共に、宿泊費の上昇や新たな宿泊形態である「民泊」の増加など、新しい現実に合わせて税制も見直す必要があるとの意見が出てきた。そのため、都税調は宿泊税の税率や課税の対象となる施設の見直しを提案している。具体的には、税率の引き上げや、新たな税率区分の導入、課税対象者の整理、民泊の課税などが提案されている。
このような改定は、業界にとっては大きな影響を持つ可能性がある。一方で、宿泊税の目的や「応益負担」の考え方との整合性、さらには宿泊客への過度な税負担などの課題も浮上している。
特に宿泊業者として注目すべきは、「法定外目的税」としての性質が希薄になるリスクと、宿泊客への過度な負担の可能性である。これらの課題を十分に考慮し、業界全体での対応策を練る必要があるだろう。
観光消費額は非常に大きく、宿泊客が自治体の税収増加に大きく寄与していることがわかる。この事実を考慮すると、新しい宿泊税制度の導入や改定に際しては、宿泊業者としても、その影響や意義をしっかりと理解し、適切な対応を模索することが求められるであろう。