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欧州技術旅行サービス協会がホテルの直接予約シフトの効果を疑問視

投稿日 : 2018.05.09

海外

ホテル関連ニュース

欧州技術旅行サービス協会(the European Technology and Travel Services Association (ETTSA))がホテルの間接予約から直接予約へのシフトの動きについて、そのコスト削減の効果を疑問視するレポートを公表した。

ホテル直接予約はコスト削減につながらない
ETTSAが5月2日公表したレポートによると、ホテル業界の直接予約の動きについて、消費者にとって透明性を欠いたものとなり、直接予約はホテルのコストの観点でもOTAを介した間接予約と大差ないことを示した。
また、代理店やOTAを外した直接予約の取り組みは、ホテルの稼働率を下げるリスクすらあると指摘している。
調査は欧州経済コンサルティング企業のInfrantaがETTSAの依頼により実施したもの。
同調査では、欧州の平均的な客室価格112ユーロを基準として、直接予約と間接予約のホテルの純利益への貢献率を分析したところ、0.03%の差異しか見出せなかった(直接予約:80.92ユーロ、間接予約80.94ユーロ)。
同調査は代理店やOTAの手数料だけでなく、消費者の購買、カスタマーサービス、技術開発を含めたコスト分析を行なっている。
25以上の学術・産業レポートとホテル、技術プロバイダー、産業界、代理店へのヒアリングを元に実施したもの。

直接予約は消費者にとって透明性を損なう
調査を担当したIan Lowden氏は、「コスト、利益、消費者行動のダイナミクスはモデル化されており、間接予約から直接予約へのシフトによるコストの削減は限定的であり、ホテルにとってマイナスとなる可能性があることが明らかとなった」と述べた。
同調査では、ホテルがOTAサイトに掲載されることによる広告の効果も加えると、ホテルはOTAに掲載されることにメリットがあると結論づけた。
ETTSAは大手OTAサイトやグローバル・ディストリビューター・システム(GDS)を代表する組織であり、ETTSAの事務局長の Christoph Klenner氏は「直接予約は間接予約よりもコストが小さくなると言う広く信じられていることは、すぐに誤りであることが明らかとなった。また、ホテル業者が直接予約を促進することは、消費者にとってホテルの比較性の観点で透明性を欠くこととなり、ホテル間の競争を阻害するものだ。消費者はどのチャネルが最も自らのニーズに適しているかを選択することが出来なければならない」と述べた。

35%がOTAを見てからホテルサイトで予約
同調査は、OTAの持つ広告力について、直接ホテルサイトから予約している宿泊客の35%が事前にOTAサイトを閲覧して特定のホテルの情報を得ており、ホテルはその利益を受けていると指摘した。また、OTAによる広告力を活用できなければ、それを補うためにホテルはSEO(検索エンジン最適化)強化のため1部屋予約あたり、7-10ユーロのコストを追加的に支払う必要が生じると述べている。

OTAをめぐっては、マリオットやヒルトンがOTA手数料削減を発表するなどホテル側とOTAの対立が激しさを増している。同調査はOTA側からの反撃の内容で、OTAのホテル比較性によりホテルの透明性が向上することでホテルの予約が導かれており、消費者の利益でもあることを強調している。

[関連記事]「マリオットがOTAへの支払手数料を見直しへーエクスペディアを皮切りに」(2018/04/09)
ヒルトンがOTA手数料削減を発表ーマリオットに追随」(2018/04/11)

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