静岡県中伊豆に位置する、1300年の歴史を誇る伊豆長岡温泉。周辺には、北条義時ゆかりの願成就院、世界文化遺産・韮山反射炉、富士山を望む伊豆パノラマパークといった観光スポットが多数存在している。ここ伊豆長岡温泉は、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放送を受けて特需が見込まれる一方、コロナ禍によって旅館数が半減。そんな中、愛犬家向けのサービスに特化した温泉旅館が、年間6000匹の宿泊“犬”を呼び込むことに成功した。
（出典：伊豆長岡温泉 八の坊公式HP）
その温泉旅館「伊豆長岡温泉 八の坊」では、犬専用の足湯や屋上ドッグランが整備され、リニューアルした広々とした客室には犬が登りやすい階段が置かれている。また、露天風呂には犬専用のものも用意されており、愛犬と一緒に疲れを癒やすことができる。
大正2年創業の八の坊は、20年前から犬連れの宿泊客を受け入れていたが、コロナ禍で客足が激減。そこで、犬を重視したリニューアルが行われ、宿泊“犬”数がコロナ禍前の年間1500匹から、去年は4倍の6000匹にまで増加。売り上げも過去最高を記録し、ゴールデンウィークもほぼ満室となっている。
また、保護犬団体への支援も積極的に行っており、売店やフロントで販売されている愛犬用作務衣や絵画の収益は全て寄付されている。さらに、2023年1月には旅館業界初の試みとして、ロビーで保護犬譲渡会が開催された。
（出典：伊豆長岡温泉 八の坊公式HP）
八の坊は今後、外国人旅行者をターゲットに「イヌバウンド」を展開。英会話ができるスタッフや専属オペレーターを配置し、愛犬家の訪日外国人にもサービスを提供していく予定だ。Booking.comの統計データによれば、ペットを連れていけるかどうかで旅行先を選ぶ人が30％、ペットとの海外旅行に関する明確で質の高い情報が不足していると感じる人が35％にのぼるという。これを受け、八の坊は、愛犬と一緒に快適に過ごせる環境を整え、外国人客の増加を見込んでいる。
こうした「イヌバウンド」を狙う取り組みは、愛犬家の共感を集める要因となり、伊豆長岡温泉の旅館業界に新たな息吹をもたらしている。コロナ禍で苦境に立たされた伊豆の温泉旅館が、愛犬家の利用に特化することで生き残りをかけた戦いを展開しており、その成果が徐々に実を結びつつある。
今後も犬とその飼い主にとって、心地よい空間を提供し続けることで、伊豆長岡温泉の地域活性化や観光業界の発展に寄与していくことが期待される。特に、外国人旅行者にも犬と一緒に楽しめる情報発信が充実し、訪日外国人の犬連れ客が増えることで、地域経済にも大きな影響が期待されている。
伊豆長岡温泉 八の坊について
住所：〒410-2211 静岡県伊豆の国市長岡１０５６－１
アクセス：【車】沼津ＩＣ—宿(28分)
【電車】三島駅（伊豆箱根鉄道駿豆線）—伊豆長岡駅(25分)
＞【バス】伊豆長岡駅（伊豆箱根バス／シーパラダイス行き・沼津駅行き）—温泉場中バス停(6分)
＞【徒歩】温泉場中バス停—宿(1分)
チェックイン/アウト：チェックイン 14:30〜19:30 / チェックアウト 〜10:30
部屋：全25室
お風呂：温泉・露天風呂・貸切風呂