3月1日、大分県日田市天瀬町でホテルを経営する「山一観光」が、新型コロナウイルス感染拡大や、7月豪雨などによる経営不振により、自己破産の開始決定を受けた。帝国データバンクによると、負債総額は23億円1200万円。新型コロナウイルス感染関連では、大分県内最大となる。
17年4月期には4億3000万円の年収入高
同社は1976年7月に設立され、大分県日田市郊外の天ヶ瀬温泉郷で「みるき~スパサンビレッヂ」の運営を手掛けていた。同ホテルは7階建て、客室数60室。館内には露天風呂付きの客室や3つの源泉を持つ湯処、バーベキューテラスを有する。九州地方の観光客を中心に、インバウンド需要も取り込み、2017年4月期の年収入高は4億3000万円を計上していた。
しかし、設備投資に伴い多額の有利子負債を抱え、債務超過状態が続き、2020年以降は新型コロナウイルスの影響で利用客が低迷。4月中旬に「緊急事態宣言」が発出されたこともあり、ホテルは休館を余儀なくされ、2020年4月期の年収入高は2億1700万円までダウン。5月に緊急事態宣言は解除されたが、7月に令和2年7月豪雨が発生。2021年以降も新型コロナの影響が続き、2021年4月期の年収入高は約7000万円にまで落ち込んだ。
その後は新型コロナ関連融資などでしのいでいたものの、今後の見通しが立たないことから、事業継続を断念。2月25日に大分地裁日田支部へ自己破産を申請し、3月1日に破産手続き開始決定を受けた。