観光庁は、宿泊施設において、客室や共用部のバリアフリー化のための改修等の支援を行う「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金(宿泊施設バリアフリー化促進事業)」の公募を実施、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、バリアフリー化を支援する。
宿泊施設のバリアフリー
観光庁は、 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会など、訪日外国人旅行者の急激な増加を見据え、高齢者・障害者等を含めた訪日外国人旅行者が安心・安全を確保することができる避難場所として利用できる宿泊施設が求められることから、共用部や客室のバリアフリー化のための改修等の支援を行うこととした。
宿泊事業者が「宿泊施設バリアフリー化促進事業計画」を策定し、国土交通大臣の認定を受けたものに対して、以下のような助成が行われる(公募期間は5月9日まで)。
(1)客室における躯体工事等を伴わない必要最低限の緊急改修(定額、補助上限100万円)
(2)共用部の改修、客室の統合等を伴う大規模改修(1/2補助、補助上限500万円)
具体的には、手すり 、スロープ(傾斜路) 、出入口・廊下の拡幅 、エレベーター・段差解消用昇降機の設置 、車いす使用者便房への改修 、点字、音声等による案内表示の設置 などがその対象となる。
パラリンピックを契機に共生社会へ
日本のホテルはバリアフリー対応の客室が少ないとの点に関しては、昨年国際パラリンピック委員会(IPC)からも問題として指摘され国土交通省が調査に乗り出した経緯がある。
車いす利用者らには特に、東京のホテルの客室に多いユニットバスが使いづらいという。
宿泊施設が緊急時の避難場所になるとの認識に立ち、誰もが安全・安心に利用できるよう、
東京オリンピック・パラリンピックを契機として、規制や基準の見直しを合わせて実施することで、一過性のイベントの「点」ではない「線」として、ユニバーサルデザインや心のバリアフリー、共生社会にまでつなげていけるかどうか。
「おもてなし」を自称する日本の宿泊施設にもその真価が問われると言えそうだ。