米ホテル業界団体のThe American Hotel and Lodging Association (AHLA)の4月17日の発表によると、AHLAは、米政府に対して、事業を拡大するAirbnbなどへの税支払いの透明性を含めた課税の強化を要請した。Airbnbのホテル取扱参入を受けて、両者の対立が激しくなっている。
米ホテル業界団体がAirbnbの課税監視強化を要請
マリオット、ヒルトン、ハイアットなど多くのホテルチェーンが加盟する米ホテル業界団体のThe American Hotel and Lodging Association(AHLA)は、米中央政府及び地方自治体に対して、ナショナル・タックス・デイ(国税日)となった4月15日に、Airbnbや他の類似短期レンタル業者へホテルと同様の監督レベルでの課税を実施することを要請した。
特にAirbnbは本年2月末、そのリスティングにホテルを含めることの開始を発表し、Airbnbの成長が続いていることが背景となっている。
また、AHLAは、Airbnbの追求する自主的回収合意(Voluntary Collection Agreements (VCAs))について、課税における透明性とAirbnbがフェアな支払いを行うことを確保しない限り、中央政府と地方自治体に拒否することを要請した。
VCAsとは、Airbnbが不動産所有者に代わって、規定に従い一定の国税と地方税を徴収し、支払うことに合意するものである。
これについて、AHLAはAirbnbがこれらの取引を秘密裏に実施しており、公的な監視を欠いているため充分な監査措置が適用されず、Airbnbが適切な税支払いを実施していないと指摘している。
ホテルと同様の規制基準の適用を要求
AHLAの政府産業関係の副代表のTroy Flanagan氏は、「Airbnbは秘密裏に交渉を行うことで、適切な税支払いを行うために必要な透明性や監視、監査を欠いている。それはまるで、小売店の支払いカウンターで消費者に、空の瓶にいくらでも自主的に税金を払ってくれと言っているようなもので、全く説明責任を果たしていない。」と述べた。
AHLAは中央政府と地方自治体の指導者にAirbnbの求めるVCAsを拒否しホテルと同様の透明性と条件においてAirbnbから税を徴収する税政策をとるよう求めている。
Troy Flanagan氏は「 中央政府や地方自治体がAirbnbへの課税の方法を変えることに加えて、政府の指導者はホテルが通常従っているのと同様の規制にAirbnbも服させるべきであり、もしAirbnbがホテルビジネスに入りたいのであれば、ホテルが日々守っている同様の安全性へのコンプライアンスに服し、規制され、課税されるべきである。」と述べた。
適切な税支払いは公共サービスを守るためにも
また、Airbnbの本社のあるサンフランシスコ市において、Airbnbが税を返済しホストから市税を徴収することで合意したことに関して、同氏は、「サンフランシスコ市がどのようにAirbnbのような短期レンタル業者を課税し規制するかのモデルを示しており、それはAirbnbに適切な税支払いを求めたたけでなく、サンフランシスコ市の住宅や近隣住民を守ることにもつながる。」と述べた。
また同氏は、ホテル業界が多額の税支払いを行なってきたことを指摘した上で、
「Airbnbは全米の多くで税を支払っておらず、たとえ支払っているとしても適切な監視がないために税支払いがフェアに行われているかがわからず、全く透明性を欠いたものとなっている。全米のコミュニティにおける、道路、学校、消防、警察その他の公共サービスはAirbnbにより、ごまかされているのだ。」と痛烈に批判した。
Airbnbは、以前からホテル業界の関係者から、課税面以外でも規制の対象外になっていることなどに批判があるのが確かだが、Airbnbのホテル取扱開始により両者の対立が激しさを増している。