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【取材】山口市徳地島地に古民家を改修した宿泊施設「Memory Gateway Hotel101 Katayama tei」開業

投稿日 : 2024.10.10

山口県

新規ホテル情報

サスケ・ヒューマンディレクション株式会社が、2024年9月21日、山口県山口市徳地島地に、古民家を改修した一棟貸し宿泊施設「Memory Gateway Hotel101 Katayama tei」(旧片山邸)をオープンした。

地域の歴史を見守り続けてきた古民家を活かしながら、現代的な快適さを兼ね備えた空間を提供するという。

本記事では、同施設の特徴やオープンに至った経緯や想いなどについて、サスケ・ヒューマンディレクション株式会社に取材を行った。

施設予約URL:http://airbnb.jp/h/memory-gateway-hotel

―――まず「Memory Gateway Hotel 101 Katayama tei」の特長や注目してほしいポイントを教えてください

▲施設外観

今回のリノベーションでは、「実家再生」と「地域と繋がる魅力発信拠点」という2つのテーマを意識しました。

まず「実家再生」という点では、古木の梁や柱、かつて使われていたシャンデリアや絵画など、可能な限り以前の面影を残すことで、懐かしくも新しい空間を作り上げました。単なる宿泊施設ではなく、実家を手放した家主の方にも「ただいま」と帰って来てもらえるような、そんな温かさを残したいという想いを込めています。

そして「地域と繋がる魅力発信拠点」としては、玄関を入ってすぐ目に飛び込んでくる徳地和紙をはじめ、随所に地域を感じられる要素を散りばめました。もちろん、水回りや空調設備など、快適な滞在に必要な設備は最新のものにアップデートしています。Wi-Fiも完備しており、ワーケーションや企業の研修合宿など、ビジネスシーンでの利用にも最適です。

―――「Memory Gateway Hotel 101 Katayama tei」をオープンするに至った経緯について教えてください

▲リノベーション前の築60年以上の古民家

私は、宮城県仙台市でイベント会社を経営しています。なぜ、縁もゆかりもないこの徳地島地に宿泊施設をオープンすることになったのか。それは、13年前の東日本大震災で経験したことが、大きなきっかけとなっています。

変わり果ててしまった風景、住む場所を失い、コミュニティが崩壊していく人々の姿。「もう二度と、あの場所には戻れないのだろうか」―そう故郷を想う人々の無念を目の当たりにしたことは、今も深い傷となって私の心に刻まれています。

都市の一極集中や人口減少によって、日本全国で「住めないわけではないのに、故郷として愛する人が減り、活気を失ってしまう場所」が生まれてしまうのではないか。そんな強い危機感を抱きながら、日々を過ごす中で出会ったのが、この徳地島地、そしてこの古民家だったんです。

YouTubeで偶然見かけた動画がきっかけで訪れたこの場所は、昭和30年代まで「島地商店街」として、たくさんの人で賑わっていた場所でした。

「この風景を未来に残したい。」「誰もが「ただいま」と心から思える場所を創りたい。」

あの日、心に刻まれた想いを胸に、この古民家を改修し、「Memory Gateway Hotel 101Katayama tei」としてオープンすることを決意しました。

―――どのように宿泊客に徳地島地の魅力を伝えていきたいとお考えでしょうか

この古民家自体が、すでに徳地島地の歴史と魅力を物語っていると考えています。改修の際に残した古民家の風情や、かつてこの家で使われていたものなどを通して、宿泊される方に自然と地域のストーリーを感じていただけるのではないでしょうか。

もちろん、周辺観光情報の発信もしっかりとやっていきます。地域の観光パンフレットを充実させるだけでなく、スタッフがおすすめスポットを個別に紹介するなど、きめ細やかな情報発信にも力を入れていきたいですね。

そして、私たちが本業としているイベント会社としてのノウハウを活かして、地域の魅力を五感で感じていただけるような体験を提供していきたいと考えています。

例えば、徳地手すき和紙の体験や、徳地岸見にある国の重要有形民俗文化財「古式サウナ」とも呼ばれる石風呂「岸見の石風呂」など、地域にある魅力と連携したツアーの企画をはじめ、地域の方々と一緒に作り上げるイベントなども開催していきたいです。

宿泊を通して、ただ地域の魅力に触れるだけじゃなく、その土地の人々と繋がり、特別な思い出を築いてもらえたらと思っています。

――― 将来的な展開として、東北と山口を繋ぐ活動を挙げられていますが、どのように展開していきたいかを教えてください

▲イベントにも作業にも使えるワークスペース

東北と山口は、距離にすると1,200km以上離れていて、簡単に繋がることは難しいかもしれません。

しかし、私が仙台からこの徳地島地に足を運んだとき、文化や風習の違いに驚き、その違いを“学ぶ”面白さを体感しました。東北にも山口にも、それぞれ独自の文化や魅力があります。移動して訪問するのはもちろんですが、距離の垣根を越えて、お互いの魅力を共有し体験しあう経験こそ、本当に価値のあることだと考えています。

そして、私たちがイベント会社として得意とするのは、まさにその橋渡しをすること。

例えば、東北にも山口にも、その土地ならではの素晴らしい地酒がたくさんありますよね。地酒には、その地域の歴史や文化、そして作り手の想いがぎゅっと詰まっている。

だからまずは、東北と山口の地酒を飲み比べられるようなイベントを開催し、生産者の方々も交えて交流を深める場を設けたいと思っています。

また、当ホテルの1階には無人販売スペースを設け、東北の特産品などを販売する予定です。私が徳地島地の風景に心を奪われたように、今度は東北の魅力を、この場所から発信していきたい。そして将来的には、東北の伝統芸能を徳地島地で披露したり、逆に山口の文化を東北で紹介したりと、双方向の文化交流プログラムも実現できればと考えています。

―――最後に今後の意気込みを教えてください

「Memory Gateway Hotel 101 Katayama tei」がオープンしたこの場所は、かつて「島地商店街」として徳地地域で一番栄えていた場所でした。昭和30年代には30店舗以上が軒を連ね、たくさんの人で賑わっていたそうです。

しかし、時代の流れとともに、今ではその面影も薄くなってしまいました。

「この場所に、もう一度、活気を取り戻したい。」それが、私の願いです。

この施設をきっかけに、地域の人たちと力を合わせ、この商店街に再び息を吹き込み、たくさんの笑顔が溢れる場所にしたいと思っています。そして、2024年10月13日(日)~14日(月祝)には、地域活性化イベント「これからの島地市」を開催します。

空き店舗や空き家を活用した物販やワークショップ、飲食、ステージイベントなど、盛りだくさんの内容を予定しています。

このイベントを通して、徳地島地の魅力を再発見し、地域の未来について共に考えてくれる人が、一人でも多く増えることを願っています。

そして、「Memory Gateway Hotel 101 Katayama tei」が、東北と山口、それぞれの地域が持つ魅力を繋ぎ合わせ、新たな価値を創造する拠点となるよう、これからも努力していきます。

■施設概要

施設名:Memory Gateway Hotel 101 Katayama tei (メモリーゲートウェイホテル いちまるいち かたやまてい)
所在地:〒754-1202 山口県山口市徳地島地95(徳地地域交流センター島地分館 隣)
アクセス:
・JR山陽新幹線「徳山駅」より車で約30分
・防長バス/バス停島地から徒歩1分
・防長バス/バス停ロハス島地温泉から徒歩2分
・防長バス/バス停石曽根から徒歩6分
予約方法:AirBnbにて受付
URL:http://airbnb.jp/h/memory-gateway-hotel

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