「旅先に長く滞在する」スタイルが広がるなか、その拠点を“未完成の余白”としてアップデートしていく実験型アパートメントホテルが東京・東上野に誕生。Sumu株式会社が手がける0号店「Sumu Ueno East」は2026年2月15日にオープンする。
1フロア1室、約79㎡で最大6人が泊まれる5F〜10Fの部屋には、可変式家具「Sumu Wall」を導入し、滞在スタイルに合わせて空間を組み替えられる。CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)など多様なパートナーがラウンジや客室の企画に参画し、地域と連携するプログラムも展開。「新しい旅のカタチ」を共創で探る。
本記事では「Sumu Ueno East」開業の背景や狙い、こだわりなどについて、Sumu株式会社に取材した。
▷公式サイト:https://service.sumu-hotel.com/ja/ueno-east/
―――本プロジェクトは、アパートメント型の長期滞在を前提にした施設ですが、企画段階で「長期滞在」と「カルチャー編集」を組み合わせようとした背景として、どんな課題意識や狙いがあったのでしょうか。

私たちは、日常と非日常をつなぐ旅先の「居場所」や、「暮らすように泊まれるホテル」とは何かを追求してきました。
そうした中で、カルチャーは“自分らしい時間”を過ごすために日常を彩る要素であり、同時に心地よい時間をつくるための大切な要素だと捉えています。
一方で、インバウンドの旅行者にとって「日本」は非日常の滞在先です。
だからこそ、滞在先で日本のカルチャーに触れることは新しい体験になるはずだ、と考えました。
さらに最近は、日本でもオーバーツーリズムの課題が大きく取り上げられるようになってきましたが、その背景には相互理解の欠如があると私たちは感じています。
地域の方々や、同じSumuに滞在している人たちとのコミュニケーションのきっかけとして、お互いの「好き」「楽しい」「おいしい」といったポジティブな感性に触れ合えるツールとしてカルチャーが介在する。
そうすることで、日本のA面もB面も、そして本質も知っていただくと同時に、私たち自身や地域の方々も異国の文化理解を深め、より円滑な関係を築いていく機会になればと考えています。

―――「新しい旅のカタチを実験するホテル」として、今回まず検証したい仮説(たとえば滞在の質、街との関わり方、体験の深まりなど)を、可能な範囲で教えていただけますか。
大きくは、次の5つのテーマを主軸に仮説を立てていく予定です。
①空間や住まいのカタチ
②コミュニケーションのカタチ
③旅や観光のカタチ
④ライフスタイルのカタチ
⑤地域社会のカタチ
多拠点生活のニーズの高まりや多様な働き方の浸透によって、①(空間や住まいのカタチ)や④(ライフスタイルのカタチ)の在り方は日本でも大きく変わってきています。
多様なニーズに応えるためにどのような空間設計をすればいいのか(ハード面)、どんな暮らし方が心地よいのか(ソフト面)を、さまざまな企業のみなさんと考えていく予定です。
【客室(4タイプ・9室)】



②(コミュニケーションのカタチ)については、先ほどの質問でも触れた視点に加えて、Sumu Ueno Eastで導入している「Local Map」(ゲストとスタッフが地域のおすすめを書き込んでいける地図)の設置など、いろいろと取り組んでいくつもりです。

③(旅や観光のカタチ)では、たとえば全国各地の伝統工芸や文化に触れる体験ツアーなどを提供することを検討しています。
統計上、東京を拠点に長期滞在されるインバウンドのお客様は、滞在期間中にさまざまな地域にも足を運ばれています。
その目的地として、通常の観光ではなかなか体験できない何かがある場所へと案内するようなツアーを設計できたらと考えています。
⑤(地域社会のカタチ)は、たとえば防災拠点としての開放が挙げられます。
避難所や一時滞在場所としての開放と同時に、インバウンドのお客様向けの防災キットの開発・設置も行います。
Sumuは24時間スタッフが滞在しており、1Fの共用部は外に開かれたカフェのような空間になっています。
防犯面でも、地域のみなさまが有事の際に、“いつでもかけ込める場所”として安心を得られる場所にしていきたいと考えています。
―――1F「Sumu Lounge」を“旅人が街と出会い直す入口”と位置づけていますが、宿泊者が自然に本や音楽へ手を伸ばし、次の外出先を考えるようになるために、空間や導線で工夫した点があれば教えてください。

Sumu Loungeでは、宿泊者のみなさまに向けて、Sumu Cafeで提供するコーヒーやスナックを無償で提供しています。Libraryの本も自由に読んでいただけます。
また、有料にはなりますが、ワインや日本酒を楽しめるアルコールサーバーも用意していて、共用スペース内でゆっくりコミュニケーションを取れるよう設計しました。
物販スペースは現状まだわずかなエリアですが、今後は街の方々にも立ち寄っていただけるような場所にしていきたいと考えています。
―――「Sumu Ueno East」で目指すのは、宿泊者が“自分らしく選択できる環境”だと理解しています。今後、滞在中の選択(読む/聴く/出かける)がより豊かに重なっていくために、空間編集としてどんな展開を構想されていますか。

現在、物販スペースで販売しているものは、食器など日常で使えるものが中心で、滞在中にお部屋で使用いただき、そのまま持ち帰っていただけたら、という想いでセレクトしていただいています。現状、物販スペース以外でご利用いただいたものは購入いただくことはできませんが、今後は、書籍や各部屋にあるレコード、民芸品なども、滞在中に出会った体験ごと持ち帰っていただけるような形を検討しています。
■施設概要
施設名:Sumu Ueno East
所在地:〒110-0015 東京都台東区東上野2-12-1
アクセス:JR・銀座線・日比谷線 上野駅 徒歩7分 / 日比谷線 仲御徒町駅 徒歩5分
グランドオープン:2026年2月15日(日)
公式サイト:https://service.sumu-hotel.com/ja/ueno-east/
客室:全9室(各室約79㎡・最大6名)
宿泊料金:1室1泊 60,000円〜(税込)※季節・曜日により変動あり
チェックイン / チェックアウト:16:00 / 11:00
■プロジェクト体制
ブランド・クリエイティブ:Sumu株式会社
統合プロデュース:ADDReC株式会社
運営:カソク株式会社
クリエイティブパートナー:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社、Whatever Co.ほか



