シマダグループ株式会社(以下、シマダグループ)のグループ会社であるシマダハウス株式会社は2023年10月、浅草寺「雷門」から徒歩5分に位置する台東区駒形に、宿泊施設「SAKE Bar Hotel 浅草」を開業すると発表した。
「SAKE Bar Hotel 浅草」は、グループ会社の吉川醸造の日本酒をメインに提供し、日本酒を思う存分楽しむことができると同時に日本の文化を体験できる、インバウンド客におすすめのホテルだ。
本記事では、「SAKE Bar Hotel 浅草」のこだわりや「日本酒飲み放題インバウンド向けのホテル」というコンセプトにした経緯などについて、シマダグループに取材を行った。
【公式サイト】
https://sake-barhotel.com
【Instagram】
https://www.instagram.com/sake_barhotel/
―――どのような経緯で「日本酒飲み放題インバウンド向けのホテル」というコンセプトになったのでしょうか
浅草は、何千室とホテルが乱立するエリアです。そんな中で当館21室のホテルに宿泊していただくには、『とがったコンセプト』が必要だと考えました。
日本酒の蔵元『吉川醸造』をグループ会社で運営する弊社ならではの強みを活かせないかと、オンリーワンなコンセプト作りに思考をめぐらせた結果、たどり着いたのが「日本酒飲み放題インバウンド向けのホテル」というコンセプトです。
≪日本酒飲み放題について≫
弊社運営のbar hotel箱根香山における『barに泊まる』のコンセプトが 堅調な人気を博していることが大きなヒントになりました。
Barの利用料金が宿泊料に含まれており(一部有料)、滞在中に好きなだけお酒が飲めることが、お酒好きの間で『天国のような場所』と言っていただけることが多く、日本酒蔵元直営の当社ならではの特性を生かし、「日本酒をテーマに飲み放題にしたらどうか」というアイディアに至りました。
≪インバウンド向けについて≫
浅草という場所柄、日本的な行事が年間を通してほぼ毎月あり、日本文化を知るにはうってつけです。
また、感染症の影響も薄まり旅行ができるようになったことや、円安の追い風を受けてインバウンド需要が復活するという見込みからインバウンド向けに振りきってみることにいたしました。
昨年の日本酒業界の輸出量が過去最大だったことを受け、海外の方からの日本酒の注目度の高さを実感しております。
吉川醸造(シマダグループ運営の酒造)でも海外からの引き合いや輸出が増え、日本酒をテーマにしたホテルとしてインバウンドに振り切る後押しになりました。
―――訪日外国人向けとした理由を教えてください
上記のご質問と回答が重複する部分も多いですが、まず一つは浅草という場所がインバウンドに人気のスポットであるということは大きいです。
日本に初めていらっしゃる方が訪れる場所としても選ばれやすい立地の為、日本文化を体験できる拠点とすることも意義があると考えました。
円安や海外での日本酒人気の高まりは、前述の通り外国人向けにする後押しとなっております。
訪日外国人をターゲットとしているものの、日本人のお客様も利用いただくことが可能です。日本酒が好きな方はもちろん、そうでない方も、お子様もご利用できるホテルとする予定です。
―――訪日外国人向けということで、力を入れているポイントや注意していることがあれば教えてください
訪日外国人をお迎えするうえで「力を入れているポイント」「注意していること」は次のとおりです。
≪力を入れているポイント≫
弊社ならではの日本文化の体験ができる企画には力を入れています。
チェックイン時にはオリジナルデザインの升を渡し、それが館内の通行手形になるような運営を考えています。日本文化などにも触れあう時間を過ごしてもらえる施設にする予定です。
≪注意していること≫
①英語表記の対応
基本的なところではございますが、ホームページや各種ご案内の英語表記はもちろん、働くスタッフも英語をしゃべれるようにしており、多言語化の取り組みも進めています。
②日本酒の神聖なイメージを伝える
弊社は一軒の米屋から事業を始めた会社であるため、美味しいお米と美味しい水からできている日本酒の良さを知ってもらうことをテーマとしています。
日本酒の味の繊細さや、神様にまつわるものとして神聖なイメージやそれにまつわる歴史も伝えられるよう、空間デザインや運営を通じて工夫を凝らしています。
―――日本酒飲み放題に関してですが、日本酒になじみのない訪日外国人向けにどのような対策やサポートをお考えでしょうか
日本酒飲み放題については「メニュー構成」「日本酒以外にも楽しめる仕掛け」「海外で受け入れれている硬水から作られた日本酒」に配慮しています。
①お客様が選びやすいメニュー構成
テイストを丁寧に表記してお好みの味を見つけられるよう工夫したり、ペアリングの提案をしたりすることで日本酒に馴染みを持ってもらえるように考えております。
②日本酒以外にも楽しめる仕掛け
日本酒になじみがなくても、漫画・足湯・貸切サウナ風呂などその他に楽しめるコンテンツをご用意することで、ご滞在を楽しめるようにしております。
プライベート貸切風呂 足湯
③海外で受け入れられている硬水から作られた日本酒を置いている
ホテルに置く予定の吉川醸造の『雨降』は、日本では珍しい硬水で作られた日本酒です。
硬水からつくられた日本酒は、ワインの味わいにも近づくことから、ヨーロッパでの酒類コンテストで軒並み最高賞を受賞しているものです。
日本酒も海外人気に伴い、ワイングラスで味わう等多様な飲み方があります。
そこをあえて『升から飲む』という体験をしていただき、場合によっては日本酒以外の飲み物も升で召し上がっていただくことで日本に訪れたからこその経験ができるようにしたいと考えております。
―――空間デザインは神棚や日本古来の文化のエッセンスが散りばめられているとのことですが、具体的にどのようなデザインやアイテムを取り入れられているのでしょうか
チェックインを行うカウンターのバーバックには、しめ縄のオブジェがありお酒をお供えする神棚をイメージしております。古くなった御柱を再利用したスツールなども。袴を着たスタッフがレセプションとバーカウンターにてお出迎えいたします。
升を使ったオリジナル照明、升のオブジェがベットバックに飾られており、酒蔵の貯蔵タンク巨大な木桶のオブジェなど日本酒にまつわるアイテムが散りばめられています。
―――最後にお客様にどのような価値や体験を提供したいとお考えか教えてください
日本の神事に日本酒が使われていた一つの理由として、日本酒には『みんなを一つにする力がある』ため、と言われています。
同じタイミングで来日され、数あるホテルの中でもSAKE Bar Hotel 浅草で出会ったお客様同士が揃いの升で乾杯をすることで、スタッフも含め心ひとつになるような体験ができる拠点にしたく思います。
また、『熱燗』『ぬる燗』『人肌燗』『涼冷え』『花冷え』など、様々な温度で繊細に味わいが変わる日本酒は、人との距離感にも例えられます。
旅の疲れや人込みなどで建物に足を踏み入れる際は『雪冷え』だったお客様同士やスタッフとの距離も、ご滞在中の体験を通して、徐々に温度を上がっていき、チェックアウトの頃には『飛び切り燗』になって、またSAKE Bar Hotel 浅草と日本のファンになっていただけるような価値を提供したいと考えております。
■「SAKE Bar Hotel 浅草」概要
【公式サイト】
https://sake-barhotel.com
【Instagram】
https://www.instagram.com/sake_barhotel/
【住所】東京都台東区駒形1-6-7
【設備情報】SAKE BAR、客室、足湯、貸切風呂(サウナ付き)
【客室数】21室
【料金】
◯スタンダード 1室料金 15,000円~
◯スイート 1室料金 80,000円~
【アクセス】
◯浅草線「浅草駅」A1番出口2分 ※羽田空港から京急エアーポート快特で36分
◯銀座線「浅草駅」A5番出口4分、「田原町駅」2番出口5分
◯大江戸線「蔵前駅」A5番出口5分