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【取材】沿線全体をホテルに見立てるプロジェクト『沿線まるごとホテル』中核宿泊施設がJR青梅線沿線に2024年3月から順次開業

投稿日 : 2023.11.21

東京都

新規ホテル情報

株式会社さとゆめ(以下「さとゆめ」)と、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」)の共同出資会社「沿線まるごと株式会社」は、沿線全体をホテルに見立てる地域活性化プロジェクト「沿線まるごとホテル」の中核となる宿泊施設のブランド名を 「Satologue」とし、そのブランド名のもと、2024年3月にレストランを開業、2024年度中に客室を開業することを発表した。

「沿線まるごとホテル」とは、「沿線」を「まるごと」楽しめる「ホテル」という世界観を構築し、新たな滞在型観光、マイクロツーリズムの創出を図るもの。JR東日本の駅舎や鉄道施設などを「ホテルのフロント」として活用し、沿線集落の古民家(空き家)を「ホテルの客室」に改修、さらに地域住民が「ホテルのキャスト」となって接客・運営を行う。

本記事では、「沿線まるごとホテル」開業の経緯や課題などについて、沿線まるごと株式会社に取材を行った。

▷ティザーサイト:https://satologue.com/

―――まず、どのような経緯でJR東日本青梅沿線にて「沿線まるごとホテル」を開業することになったのでしょうか

沿線まるごとホテルをJR東日本と共同で行っている株式会社さとゆめが、山梨県小菅村という人口約700人の村で伴走支援しており、「700人の村が一つのホテルに。」をコンセプトに、村全体を一つの宿に見立てる分散型ホテル「NIPPONIA小菅 源流の村」を2019年8月17日にオープンしました。

村の古民家は「ホテルの客室」、村の住民は「ホテルのコンシェルジュ」(散歩や収穫体験を通じて村をご案内)、村の道は「ホテルの廊下」といった「村がまるごとホテル」かのような世界観を提供しています。

JR東日本が、小菅村に視察に来ていただいた際に、JR東日本の沿線でも同じようなコンセプトで一過性のイベントではなく持続可能な事業として一緒にできないかと相談を受けて、その後、沿線の駅とその周辺の集落に点在する地域資源を“編集”し、地域全体を“一つのホテル”に見立てた世界観をつくりだす「沿線まるごとホテル」というコンセプトが生まれたのがきっかけです。

その後、数回のサービス実証を経て、さとゆめとJR東日本社との共同出資会社「沿線まるごと㈱」を設立し、この度「沿線まるごとホテル」の第一弾施設の開業というリリースに至りました。

―――「沿線まるごとホテル」を進める上で、最大の課題は何でしょうか

地方地域において無限に出てくる課題を挙げ続けても、閉塞感が増すだけですので、我々は地域の光に焦点を当てて、課題を価値へ転換していくことを意識しています。

「無人駅はホテルのフロントに」「増える空き家はホテルの客室に」「高齢化する住民はホテルのキャストで再び輝いていただく」という形で進めています。

その中でも最大の課題は「ヒト」です。地方地域に仕事がないという時代は古く、仕事はあるがヒトがいないという現実に直面しています。地域の自治体・事業者・住民に加えて地域外の人たちも参画してもらい、多くのヒトがこの事業に関わって自分のふるさとと感じてもらうホテルにしていきたいと思います。

是非、全ジャンルからの参画者をお待ちしております。

―――地元の住民の方々は「沿線まるごとホテル」の運営にどのように関わっているのでしょうか

図:「Satologue」の施設イメージ(スケッチ)

これまでは何回か実証ツアーを実施し、地元の住民の方々に奥多摩エリアの集落や地域資源の魅力を伝えるガイドをしていただき、非常に好評でした。

今後の予定としては、Satologueが開業する集落近辺の散歩コンテンツのガイドとして関わってもらうことや、敷地内に「わさび田」をつくる予定なので、そこの監修や手入れを地元のわさび農家さんにお手伝いしてもらう予定です。

ガイドブックやネットに載っていない地域の人達ならではの体験を一緒に提供していきますので楽しみにしていてください。

―――「Satologue」ブランドが掲げる「里とつむぐ、物語。」というコンセプトを、「Satologue Ome」へ具体的にどのように反映させているのでしょうか

図:「Satologue」のランドスケープイメージ(スケッチ)

“Satologue”は、Sato(里)とlogue(語り)を組み合わせた造語となります。

「里とつむぐ、物語。」というコンセプトは、ホテルが立地する地域の歴史・文化・自然や、地域を想う人々の営みといった「里の物語」を、ホテルの空間やサービス、アクティビティの中で感じていただき、その地域がお客様にとって「ふるさと」のような存在になって欲しいという意図を込めています。

なお、「Satologue 」の最初の施設である、青梅線沿線に開業予定の宿泊施設の名称は「Satologue Ome」となります。林業が特に栄えた江戸中期から大正末期頃の奥多摩では、筏に木材を積み、街まで運ぶ風景がよく見られたそうです。

筏師が巧みに難所を潜り抜けて無事下流まで辿り着けば、木材問屋の集まる要所でそれを受け取る人がいる。現代、街で流れる川を目にして、その上流にどんな暮らしや風景があるのかと思いを馳せることは、そうないかも知れません。

昔は近くに感じられていた自然や人とのつながりが見えにくくなっている現代都市の暮らし。このホテルを訪れてくれる人の「ふるさと」になりたい、そんな願いが出発点でした。

「ふるさと」とは何かという問いに向き合いながら、地元の方々にお話を伺ってまわると、土地の情緒に溢れたたくさんのものごとに出会いました。

私たちは、かき集めた土地のストーリーの語り部となり、ホテルの滞在の中に散りばめ、体験に落とし込みます。そして、豊かな情緒を思い出せるような「物語」を、里とつむいでいきます。

―――最後に、開業に向けての意気込みをお願いします

沿線まるごとホテルプロジェクトは、空想とも言えるアイデアから生まれた事業でした。

無人駅をホテルのフロントに見立て、空き家を客室へと改修し、地域の方々がキャストとなってお客様をお迎えすることで、過疎高齢化で衰退の一途をたどる農山村を元気にしていけるんじゃないか、そして、都市部で生まれ育った人達の「ふるさと」になれるのではないか。そんな空想を現実にするために、まずは記念すべき第1棟目となるレストラン、サウナ、そして宿泊棟を開業します。

また、沿線まるごと株式会社としては、青梅線沿線での事業展開に留まらず、将来的には「沿線まるごとホテル」等の地域事業をJR 青梅線以外の地域でも検討し、2040 年までに JR 東日本管轄エリア内で 30 地域以上での地域特性に応じた地域事業創出を目指していきます。

■沿線まるごとホテル プロジェクト概要

「沿線まるごとホテル」は、JR東日本の駅舎や鉄道施設などを「ホテルのフロント」として活用、沿線集落の古民家(空き家)を「ホテルの客室」に改修、さらには地域住民が「ホテルのキャスト」となって接客・運営を行うことで、「沿線」を「まるごと」楽しめる「ホテル」の世界観を構築し、新たな滞在型観光、マイクロツーリズムの創出を図るもの。

第一弾として、JR東日本・青梅線沿線にて開業準備を進めており、青梅線の「鳩ノ巣駅」近隣エリアに、2024年3月にレストラン棟(客席22席、ラウンジ、焚火あり)とサウナ棟(利用人数6名程度)を開業、2024年度中に客室棟(ツインルーム4室)を開業する。また、2025年には、新たな客室棟(一棟貸し1室、収容人数10名程度)を開業予定だ。

その後、JR 青梅線沿線で順次地域拠点を改修・開業していき、沿線が一つのホテルとなる世界観を構築していく。

▷ティザーサイト:https://satologue.com/

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