沖縄本島北部・本部町備瀬に、一棟貸しヴィラ「備瀬縁梵(bise-enpu)」が2026年3月20日、全3棟でグランドオープンした。
フクギの森に囲まれた備瀬は、自然景観の保全意識が高く、新たな宿泊施設の開発が容易ではない土地として知られる。その中で誕生した同施設は、美ら海水族館など周辺観光へのアクセスの良さに加え、温水プールやサウナ、露天風呂も備える。沖縄北部で自然と静けさを味わう新たな滞在拠点として、注目を集めそうである。
本記事では、「備瀬縁梵」の特徴やこだわりなどについて、運営および建築設計を手がける株式会社Fuuに取材した。
公式サイト:https://bise-enpu.snack.chillnn.com/snack/bise-enpu
―――フクギの森に囲まれ、自然環境や景観への配慮が求められる備瀬という土地で、今回のヴィラ開発において最も大切にされた考え方をお聞かせください。

フクギの森に囲まれた備瀬の環境に対しては、「自然を壊さず、内側に取り込む」という考え方を大切にしました。
そのため、リビング・プール・テラスといった各空間は、どこにいてもフクギの気配を感じられるように配置しています。
特にリビングは2階に設けることで、視線の先にフクギの緑が広がり、まるで森の中に浮かんでいるような感覚を得られる空間としました。

―――自然に包まれた滞在を提案するにあたり、「観光を楽しんだ後にゆったり過ごす」という想いを、施設の設計や体験づくりにどのように反映されたのでしょうか。
「外で過ごす時間」を中心に据えた設計としています。
リビングと寝室の動線をあえて屋外側に設けることで、室内にいながらも自然を行き来するような感覚を生み出しています。
また、テラスには屋根を設けることで、雨天時や夏の強い日差しの中でも快適に過ごせるよう配慮しました。時間帯や天候に左右されず、穏やかな滞在が続くような体験づくりを意識しています。

―――Blanc・Nero・Kayuの3棟それぞれに異なるコンセプトを設けた理由と、各棟で特に感じてほしい魅力についてお聞かせください。
3棟はいずれも、備瀬のフクギの森に調和するよう、壁や天井の色味を抑えた設計としています。同じプランでありながらも、光の入り方やフクギとの距離感、周囲の環境によって、それぞれ異なる空気感が生まれる点を大切にしました。
その違いをより明確に体験していただけるよう、各棟ごとに家具や小物のトーンを変え、それぞれにコンセプトを設けています。
Blancは「白」をテーマに、家具も白を基調とした上品で軽やかな空間に仕上げました。北側のフクギに面しており、やわらかい光が差し込むことで、明るく開放的な雰囲気を感じていただけます。


Neroは「黒」をテーマに、家具や小物、細部のパーツまで黒で統一することで、静けさと落ち着きを強調しています。東側の森に面しているため、光は木漏れ日程度に抑えられ、より内省的で穏やかな時間が流れる空間となっています。


Kayuは「自然」をテーマに、木素材や自然を想起させる要素で構成しています。南側の森に囲まれ、光量も多く、他の棟に比べてより濃い緑に包まれるような、生命感のある空間を体験していただけます。


それぞれ異なる滞在の質を楽しんでいただけるように設計しています。
―――備瀬のワルミやフクギ並木、美ら海水族館など周辺資源に恵まれた立地を踏まえ、どのような滞在価値や過ごし方をお客様に提案したいとお考えでしょうか。

備瀬という場所は、観光地としての魅力だけでなく、時間の流れそのものを感じられる土地だと考えています。
朝はワルミへ。“気の通り道”とも言われるこの場所で、静かな空気に触れながら一日が始まります。
日中はフクギ並木をゆっくりと歩き、木々に守られた集落の中で、備瀬ならではの暮らしや風景を感じていただく。また、美ら海水族館など周辺の観光も楽しんでいただけます。

そして夕方からはヴィラに戻り、温水プールやサウナ、テラスで過ごす時間へ。時間とともに移り変わる空や風を感じながら、自然と心と身体が整っていく感覚を味わっていただきたいと考えています。
観光と滞在が分断されるのではなく、ひとつの流れとしてつながっていく。
その中で、「楽しさと癒し」を感じていただける滞在を提案したいと思います。
―――最後に、備瀬縁梵を通じてお客様にどのような思い出を持ち帰ってほしいとお考えか、また今後この場所をどのような存在に育てていきたいかをお聞かせください。

この場所での滞在が、単なる旅行の記憶として終わるのではなく、ふとした瞬間に思い出されるような体験として残ってほしいと考えています。
備瀬のフクギの森やワルミには、古くから受け継がれてきた自然や空気があります。
その中で過ごすことで、日常とは違う視点で、自分自身や大切な人との時間を感じられる。
そうした体験が、この場所に訪れる意味になると思っています。
今後は、宿泊施設という枠にとどまらず、訪れること自体に価値を感じていただける場所へと育てていきたいと考えています。
何度訪れても、その時々で違う魅力を感じられるような、長く関係が続いていく場所を目指していきます。
■施設概要
施設名:備瀬縁梵(bise-enpu)
所在地:沖縄県国頭郡本部町備瀬1121-1
棟数:3棟(Blanc / Nero / Kayu)
宿泊定員:各棟4名
客室タイプ:一棟貸しヴィラ
予約サイト:備瀬縁梵公式予約サイト